HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 05 Dec 2010 01:10:25 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:<ふるさとの訛(なまり)なつかし 停車場の人ごみの中に そ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年12月5日

 <ふるさとの訛(なまり)なつかし 停車場の人ごみの中に そを聴きにゆく>。岩手県出身の石川啄木の有名な短歌がJR上野駅構内の歌碑に刻まれている。集団就職した若者への応援歌「あゝ上野駅」をはじめ、多くの歌謡曲の舞台になった上野駅だが、東北の「表玄関」だったかつての面影はない▼蒸気機関車の時代から、長距離の特急列車が花形だった時代を経て、一九九一年に東京駅が東北・上越新幹線の始発駅になると、上野駅は玄関口の座からすべり落ちてしまう▼高度成長期、「金の卵」たちが夜行列車に十数時間も揺られてたどり着いた長い旅路は、わずか三時間二十分に縮まった。基本計画から三十八年。東北新幹線はきのう、全線が開通し本州最北端の新青森まで延びた▼来年三月には新型車両「はやぶさ」を投入。時速三百キロの運転でさらに十分間短くなり、二〇一二年度末からは、最高三百二十キロで走る▼おめでたい初日は、強風によってダイヤが大幅に乱れた。祝賀ムードに水を差されたが、自然には決して勝てないという警告と受け止めたい。山陽新幹線の橋桁が崩れ落ちた阪神大震災のあの惨状を忘れてはいけない▼「あっという間に着いた」という感想も乗客からは多く聞かれた。車窓に映る雄大な東北の山々の景色を楽しみ、時には車内に飛び交う「ふるさとの訛」を味わうゆとりも忘れたくない。

 

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