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天声人語

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2010年12月5日(日)付

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 方程式にも色々あるが、「ドレーク方程式」というのをご存じだろうか。宇宙に知的生命のいそうな星がどれだけあるかを求める式で、カリフォルニア大教授だったドレーク氏が若いときに考えた▼計算次第で幅が出るが、昔記事にしたとき、たしか全宇宙でざっと1万個ほどと教わった。結構あるな、などと思うなかれ。我々のいる銀河系だけで太陽のような恒星が2千億はある。そうした銀河が宇宙に約1千億という。大海で針一本を捜すようなもの、と言っても言い足りない▼そんな奇跡でも起きたかと、米航空宇宙局(NASA)の「重大発表」を待った人もいたようだ。なにせ「宇宙生物学上の発見について」と題されていた。会見の前から「異星人の可能性」を報じた米国のテレビ局もあった▼ふたを開けると、猛毒のヒ素を食べる細菌の発見だった。米国の湖で見つかった。なーんだ、と思うなかれ。生命に必須のリンの代わりにヒ素を食べる。それは「生命には水が必須」といった常識も覆しかねない発見なのだそうだ▼つまり生命には、これまでの想定をはるかに超える柔軟性があるかもしれない。過酷な環境の星にも我々と異なるタイプの生命が存在する可能性がある、ということになるらしい▼人類が「独りぼっち」ではない可能性が増したことになろうか。とともに、我々は何者か、という問いも深まりゆくように思われる。〈異星にも下着といふはあるらむかあるらめ文化の精髄なれば〉山田富士郎。パンツをはいたサルとして、夜空を仰いで思い巡らす。

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