HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 03 Dec 2010 23:12:42 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:温暖化議定書 単純延長ではなくて:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

温暖化議定書 単純延長ではなくて

2010年12月4日

 温暖化対策を話し合うCOP16が、メキシコのカンクンで開かれている。途上国と先進国の間の溝は深まり、交渉は沈滞ムード。結論は出せないまでも、双方が歩み寄るきっかけをつかみたい。

 本来、京都議定書の期限が切れる二〇一三年以降の温室効果ガス削減枠組みは、昨年末のコペンハーゲン会議(COP15)で決めなければならないはずだった。

 ところがCOP15は事実上決裂し、この四月、ドイツのボンで交渉が再開された時点で、早々と年内決着が断念された。ポスト京都の枠組みは来年の南アフリカCOP17へ持ち越され、カンクン会議は通過点にされてしまった。しかし、この通過点は重要だ。

 紛糾の要因は、先進国と途上国の激しい対立、そして枠組みに入ろうとしない米国の単独主義だ。経済成長著しい中国率いる途上国グループは「温暖化は先進国の責任」という原則論を崩さず、会議進展の壁になっている。

 一方、米オバマ政権は先の中間選挙の敗北で芽を摘まれ、議定書復帰のめどは立っていない。

 そこで、削減ルールの空白期間を恐れて浮上したのが、途上国に義務を課さない京都議定書の延長論だ。当初は難色を示した欧州連合(EU)も、議定書の下で築いた排出量取引制度への影響を嫌い、米中やインドといった大量排出国が応分の義務を負うことを前提に、延長容認に傾いた。同様の条件のもと、二〇二〇年に一九九〇年比25%という高い削減目標を掲げた日本は、延長論に反対し、孤立の色を深めている。

 米中による排出量は、世界全体の四割以上、議定書の義務を負う国々の排出量は三割を切った。中国はもはや途上国とは言い難い。米中抜きで温暖化は止められない。延長に反対する日本の主張は正論だ。正論は通すべきである。

 だが、それだけでは道が開けない。例えば議定書の「単純延長」ではなくて、米中などが参加可能なもう一つの枠組みを暫定的に用意する「二段階方式」という案もある。その上で排出量取引や森林吸収源のように、議定書のルールに沿って展開される柔軟な削減手法のメニューを増やす次善の策には一考の余地がある。

 足踏みはもうできない。日本は十月の生物多様性条約名古屋会議で、不可能とまでいわれた途上国と先進国の歩み寄りを実現させた。その経験をカンクン会議の前進に生かしてほしい。

 

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