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COP16 京都議定書の単純延長は論外(12月3日付・読売社説)

 世界の温室効果ガスの排出量を減らし、化石燃料に頼らない社会を築くためには、先進国と途上国の対立を解いて、新たな国際ルールを策定する必要がある。

 気候変動枠組み条約の第16回締約国会議(COP16)がメキシコで開かれている。主要議題は、対象期間が2012年に終了する現在の「京都議定書」に代わる、新しいルール作りだ。

 問われているのは、参加国の思惑が絡み合う中で、公平で実効性のある枠組みを構築できるかどうか、である。

 討議は序盤から難航している。経済成長の足かせになるとして、新ルールで削減義務を負うことに強く抵抗している途上国側が、13年以降も京都議定書を延長するよう主張しているためだ。

 京都議定書は先進国だけに削減義務を課しており、途上国に都合のよいルールになっている。排出量が最も多い中国も、途上国として削減義務を負っていない。

 中国に次ぐ排出量の米国は、議定書を離脱したままだ。中国と米国を合わせた排出量は、世界全体の4割以上を占める。

 一方で、削減義務が課されている日本や欧州連合(EU)などの排出量は、世界の27%に過ぎない。京都議定書が実効性を欠く枠組みと言われるゆえんだろう。

 必要なのは、中国と米国も排出削減に応分の責任を果たすような枠組みである。京都議定書の単純延長は、明らかにそれに逆行するものだ。日本政府が議定書の延長に反対する方針を決めたのは、当然と言えよう。

 ただ、EUにも京都議定書の延長を容認する動きがあるのは懸念材料だ。削減目標達成の手段の一つとして実施している域内の排出量取引制度を、今後も続ける方が得策との思惑からだろう。

 日本が厳しい交渉を迫られることは間違いない。

 鳩山前政権は、20年までに1990年比で25%削減という極めて高い目標を打ち出した。これに取り組むにあたっては、「すべての主要排出国による公平な枠組みの構築」と「意欲的な目標の合意」という前提条件も付けている。

 この条件は堅持せねばならない。「25%削減」が独り歩きすれば、日本だけが不利な削減義務を負うことにつながりかねない。

 過度の排出抑制は経済に悪影響を及ぼすとして、国内でも「25%削減」への反発は強い。この際、現実的な目標への見直しにも着手すべきである。

2010年12月3日01時25分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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