HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37812 Content-Type: text/html ETag: "103f95-16e2-ba160340" Expires: Mon, 29 Nov 2010 02:21:41 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 29 Nov 2010 02:21:41 GMT Connection: close クロマグロ 乱獲防止へ重要な日本の役割 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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クロマグロ 乱獲防止へ重要な日本の役割(11月29日付・読売社説)

 大西洋と地中海のクロマグロを管理する国際委員会はパリで開いた年次会合で2011〜13年の漁獲枠を今年より4%減らすことで合意した。

 40%減となった前回と比べると削減幅は小幅にとどまったが、漁獲枠のさらなる削減を求める声は欧米などで根強い。大西洋産クロマグロの資源減少に歯止めがかからないからだ。

 世界最大のマグロ消費国である日本への風当たりは、今後も強まるだろう。欧米主導の行き過ぎた漁獲制限を阻止するためにも、日本は、マグロ資源を持続的に利用できる体制作りに、主導的な役割を果たさねばならない。

 高級品として人気が高いクロマグロは、日本が世界の供給量の8割を消費しており、このうち半分近くが大西洋産だ。

 今回の会合では、日本の提案に基づき、乱獲に対する監視体制が整っていない国に対して、操業を停止させる措置を導入することでも合意した。

 フランスやイタリアなどが漁獲枠を超える幼魚を取り、それを地中海で養殖していると批判されていることが背景にある。

 だが、もっぱら「トロ」の部分を増やすことを目的に行われる地中海の養殖ビジネスは、大半が日本向けだ。そのおかげで、回転ずし店やスーパーなどでもクロマグロが提供されるようになった。

 養殖クロマグロの対日輸出が結果的に、乱獲に拍車をかけている面は否定できまい。

 そうであるなら、日本が、もう一段の資源管理に踏み込む努力をすることが必要ではないか。

 日本への輸入制限の強化で、過剰な漁獲を防ぐ手もあろう。

 太平洋のクロマグロについては、漁船ごとに漁獲枠を配分する方式を来年度から導入するなど、日本が自ら資源管理を強化する。規制が徹底されていない大西洋でも、こうした対策を加盟国に働きかけていくべきだ。

 クロマグロを完全養殖する技術開発も進んでいる。成長したクロマグロを地中海に放流する資源回復策なども検討に値しよう。

 マグロの漁獲規制は世界的な潮流になりつつある。今年3月には、絶滅危惧(きぐ)種の扱いを協議するワシントン条約締約国会議で、クロマグロの禁輸が俎上(そじょう)に上り、辛うじて否決されたばかりだ。

 そうした中で、日本人がクロマグロを食べ続けるには、安易な「トロ信仰」を捨て、国際的な資源管理の重要性を再認識することが求められる。

2010年11月29日01時47分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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