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企業メセナ 文化支援での役割は大きい(11月28日付・読売社説)

 企業によるメセナ協議会が1990年に設立されて20年が過ぎた。

 以来、協議会を中心に数多くの企業が、美術館やホールの運営、芸術祭の企画、地域文化の振興など、様々な分野で社会貢献活動に一段と力を入れるようになった。

 日本には昔から、実業界の篤志家らが、教育や文化に資金を提供して育てる伝統があった。

 その多くは匿名で行われてきたが、今や企業活動にも説明責任が問われる時代だ。これまで以上に顔と個性が見える社会貢献が求められよう。

 「メセナ」は、芸術・文化支援を意味するフランス語である。

 文化庁の年間予算が約1000億円なのに対し、1年間の企業によるメセナ活動費の総額は約250億円と推計されている。少ない国の予算を企業が補う形だ。

 しかし、企業を取り巻く経営環境は厳しい。企業メセナ協議会のアンケート調査によると「経済状況の悪化で、メセナ活動が見直し・削減の方向にある」と回答した企業は40%に上っている。

 それでも「活動が定着し継続への期待が高い」「自社への信頼・評価を得ることにつながる」などの理由から、多くの企業が活動の継続を模索している。

 駅構内にアートエリアを設ける鉄道会社や、障害者参加の舞台芸術を支援する保険会社もある。

 島根県の医療用品製作会社は、石見銀山の史料を収集し、自前の資料館に展示した。これが石見銀山の世界遺産登録に貢献した。

 こうした企業にエールを送ってきた企業メセナ協議会の福原義春会長(資生堂名誉会長)が、今年の読売国際協力賞を受賞した。

 80年代後半のバブル経済の時代、土地などを買いあさる日本企業に対して、海外では「金もうけ主義」との批判が高まり、製品のボイコット運動も起きた。

 これを反省し、外国のメセナ組織と交流しながら、地道に内外で活動を続け、日本と日本企業のイメージアップに貢献したことなどが評価された。

 福原会長は、「日本の企業にも文化を大切にする心があることを示したかった」と、活動のきっかけを語っている。

 日本におけるメセナ活動の今後の課題の一つが、自治体と企業の連携を強化することだ。

 例えば、メセナ活動の経験豊富な民間の人材を、文化政策の専門家として自治体が登用するなら、行政と企業の間で、よりきめ細かな協力が可能となるだろう。

2010年11月28日01時41分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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