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名古屋市政混乱 住民投票のルール再点検を(11月27日付・読売社説)

 市民税減税の恒久化など、自らの公約の実現を市議会に迫るための計算ずくの戦略だろう。

 名古屋市の河村たかし市長が、12月にも辞職して、出直し市長選に出馬する意向を表明した。

 市長が主導した市議会の解散請求(リコール)の有効署名数は、法定数を下回り、住民投票の実施が困難になっていた。その責任を取ることが辞職の理由という。

 河村市長は、出直し市長選を、来年2月投開票の愛知県知事選とのダブル選挙としたい考えだ。知事選に出馬する自民党の大村秀章衆院議員と連携して、減税や議会改革を訴え、相乗効果を上げようという思惑がうかがえる。

 自らの掲げる政策を実現するため、民意を問い直すことは否定されるべきではない。

 ただ、市民税減税の恒久化や市議報酬の半減などに反対する市議会との対立を(あお)るような河村市長の手法は、大衆迎合的であり、建設的とは言えまい。

 市議会の解散請求活動では、住民投票の問題点も浮上した。

 名古屋市の場合、議会の解散の是非を問う住民投票の実施には、1か月で有権者の約2割に当たる36万5795人分の署名が必要となる。このハードルは高すぎる。法定数の引き下げや署名期間の延長を検討すべきだろう。

 また、今回集まった46万人超の署名のうち、市選管の審査で11万人余もの無効署名が見つかった。市長の支援団体の署名活動が杜撰(ずさん)だったことに加えて、署名活動の基本的なルールが周知徹底されていないことが問題だった。

 総務省の地方行財政検討会議は地方自治法の抜本改正を検討している。その中で、署名活動の留意点や署名の有効・無効に関するガイドライン(指針)を作成、公表してはどうか。

 検討会議は、片山総務相の意向を受け、住民自治の強化のため、一般的な住民投票の法制化も検討している。地方自治法は、首長の解職や議会の解散に関する住民投票を定めているが、それ以外の住民投票は、各自治体が定めた条例に基づいて実施されている。

 住民投票は、直接民主主義の有効な手段で、市町村合併の是非などはそれに適したテーマだ。

 一方で、住民投票の乱用は議会制民主主義の否定にもつながる。米軍基地の受け入れの是非など、国の安全保障にかかわる問題で地元の民意を絶対視することは避ける必要がある。住民投票の法制化には慎重な議論が求められる。

2010年11月27日01時40分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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