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11月25日付 よみうり寸評

 〈ダンテ『神曲』講義〉――平川祐弘・東大名誉教授(比較文学)が東京・荻窪の読売文化センターに、この講師で招かれたのは2007年春のことだった◆月に2回、1年にわたる講義で平川さんはその都度、400字詰めで50枚余の講義原稿を用意した。これを基に書き直したものが、冒頭のタイトルで今夏、河出書房新社から刊行された◆聴衆が最も集まらないのがこの種の教養講座、集まらなければ中止と聞いていた平川さん、教場で驚いた。聴衆は想像以上に熱心で社会的体験の豊かな人たち◆無論、だれもダンテの専門家などではない。近著の前書きで「荻窪の駅ビルが象牙の塔であるはずもないが、その一室には良き知的雰囲気があった」と平川さん◆センターの関係者にはうれしい回想だろう。比較文学の第一人者が多年積み重ねた研究の実りを講義のままの話し言葉で読める。講師の私的な発言も親しみやすい◆とかく難解で敬遠されがちな古典だが、講座に通うようなつもりでゆっくり学びたくもなった。

2010年11月25日13時46分  読売新聞)
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