HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 26 Nov 2010 00:10:40 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:法人税減税 元気な日本を見通せぬ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

法人税減税 元気な日本を見通せぬ

2010年11月26日

 企業の海外流出を抑え国内に工場などを残して雇用を守る。これが菅政権の目指す法人税減税ではないのか。首相が肝を据えねば、企業が競争力を取り戻し税収を増やす道筋すら見えてこない。

 日本企業の競争力を高め、外資企業も誘致するため、国税と地方税を合わせた世界最高水準の法人実効税率40%を引き下げる−。

 「元気な日本」をよみがえらせようと、菅直人首相が二〇一一年度の税制改正に掲げた目玉政策だ。政府の新成長戦略も日本をアジアの拠点に復活させようと減税を柱に据えた。

 ところが、首相は「投資や雇用の拡大につながる保証はない」と発言する一方で、経済界の減税要望には「真剣に受けとめる」と答えるなど、真剣さが伝わってこない。閣僚らで構成する税制調査会も、減税の財源探しにきゅうきゅうとし、元気な日本をどう取り戻すかの議論が聞こえてこない。

 法人税収は、リーマン・ショックを境に二〇〇七年度のほぼ半分、六兆〜八兆円に落ち込んだ。財政負担は極力抑えねばならないが、産業空洞化から目をそむけては、日本経済は縮む一方ではないか。

 日本企業の進出が相次ぐタイの法人税率は日本に比べ格段に低く、日産自動車はマーチの生産をタイに全面移管し、輸出拠点に変容させている。シャープは中国・南京市に液晶パネル・テレビの研究開発センターを開設した。

 国際的な税負担格差が経営体力をそげば、企業は立地条件が有利な海外に拠点を移すのは当然だ。もはや国境を越えていく企業を押しとどめることはできない。

 欧州諸国は企業が立地しやすいよう、十年かけて税率を大幅に引き下げた。韓国などアジア各国の税率は日本をはるかに下回る25%前後だ。オバマ大統領が輸出倍増による経済再建を掲げた米国でも引き下げの議論が始まった。

 法人税減税は国際競争力を呼び戻し、税収増をもたらすという逆説が欧州では確認されている。日本が同じ道をたどる確証はないが、リスクを覚悟してでも雇用を守る税制を築く。政治主導による国民生活の立て直しという政権交代の原点を見失っては、元気な日本の復活は望めない。

 日本経団連は政府が大胆な減税などを進めれば、十年後の民間設備投資を今の六割増、百四兆円を目指すと提案した。

 首相には、その実現に向けて経済界を叱咤(しった)するくらいの気概と度量を見せてもらいたい。

 

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