HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Wed, 24 Nov 2010 21:10:31 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:南北朝鮮砲撃戦 住民巻き添え許されぬ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

南北朝鮮砲撃戦 住民巻き添え許されぬ

2010年11月24日

 北朝鮮が韓国の離島に砲撃を加え、住民にも負傷者が出た。韓国も応戦し、全軍に警戒態勢を敷いた。軍艦による海戦や陸地での交戦にまで拡大させてはならない。南北双方に自制を強く求める。

 朝鮮半島の西、黄海にある韓国領の延坪島に白昼、北朝鮮軍の砲弾が撃ち込まれ、韓国軍兵士に死者が出て住民も数人負傷した。

 黄海上の境界線付近ではこれまで南北艦艇による銃撃戦が三度起きているが、島を含む陸地に対する北朝鮮の多発砲撃は朝鮮戦争の休戦(一九五三年)以来初めて。

 民家が炎上し島民は防空壕(ごう)に避難した。船で島を脱出した人もいる。最前線の島で韓国軍が駐屯しているとはいえ、住民まで巻き添えにした砲撃は許されるものではない。

 なぜ北朝鮮は軍事行動にまで踏み出したのか。

 黄海上では韓国側が北方限界線(NLL)という境界線を設定しているが、北朝鮮は一方的な措置だとして認めていない。この日、韓国軍はNLL付近で軍事演習をしており、北朝鮮軍は「自国領海に砲撃を加えたので断固たる措置をとった」と主張した。演習への反発が直接の要因だろう。

 南北関係の悪化も背景にある。韓国の李明博政権は過去二代の政権が続けた「融和政策」とは異なり、北朝鮮が核廃絶に取り組まない限り、まとまった支援はしないという原則を崩さない。三月の韓国哨戒艦沈没は北朝鮮の魚雷攻撃によるものと断定した。北朝鮮の支援要請は十分に受け入れられずいら立ちが募っていた。

 南北対話が進まないため、北朝鮮は韓国と軍事同盟関係にある米国を交渉の場に引きだそうとしている。ウラン濃縮施設や実験用の軽水炉を訪朝した米科学者らに公開したのも、核開発を加速化して緊張感を高め、オバマ政権に対話を迫っているのだ。

 北朝鮮の一連の行動は危険すぎる。国連安保理の制裁決議を受け経済が破綻(はたん)状態なのに、軍拡を続ければ進路は狭まるばかりだ。

 韓国側は応戦により「北朝鮮(の陣地)にも相当の被害が出ているはずだ」と戦果を強調したが、南北双方に自制を求めたい。北朝鮮と同盟関係にある中国は、挑発を続けるなら経済支援を止めると厳しく臨むべきだ。

 朝鮮半島は激変している。日本政府は北朝鮮の後継体制による不安定化、緊張の高まりを正確に分析し政策の立て直しが必要だ。

 

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