HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 22 Nov 2010 22:10:41 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:週のはじめに考える 閉塞感+政党不信=…:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

週のはじめに考える 閉塞感+政党不信=…

2010年11月22日

 民心が民主党政権から離れます。予想外の速さで。閉塞(へいそく)感と人々の不安、不信を思えば当然かもしれません。次にくるのは政党政治の融解か。心配です。

 いささか驚きました。

 内閣支持率がいくつかのメディアの調査で30%割れの危険水域に入り込んだことに、です。

 日米に日中、日ロの首脳会談、そして重要国際会議の議長もこなしてこれでは、菅直人首相もつらいところでしょうね。

 首脳会談の頭撮り−メディア映像向けに儀礼的あいさつを交わす場面でしたが、首相のメモ読み姿には私たちもガックリ。これも民心離反の一因でしたかも…。

◆地方選戦えぬと悲鳴

 支持率急落のもたらすものが目に見える形で表れたとしたら、それは選挙でしょう。

 先週日曜に投開票された福岡市長選。政権を揺さぶりました。

 平時なら勝って当たり前だった民主の推す現職が自民と公明党の支援する新人に大敗したのです。

 当選したのは三十六歳元アナウンサー。候補選びの“おはこ”も奪われて民主の完敗でした。

 民主党の地方組織から「このままでは来春の統一地方選が戦えない」と悲鳴が聞こえてきます。

 役人たちも「政権は春まで持つか」と。威光の陰りが甚だしい。

 そして閣僚たちの情けない発言や荒れる言葉。まるで政権末期の惨状を呈しています。

 こうなるとまたぞろ「首のすげ替え」論が出てきそうです。が、話はそう単純でありません。

 ここで首相交代なら直ちに衆院解散・総選挙です。政権たらい回しは駄目。私たちはそう主張します。野党はもちろん与党も心ある人たちならそうでしょう。

 でも民主は勝てそうにない。政権を失う可能性が大であるばかりか、まとまりを欠く党は瓦解の恐れなきにしもあらずなのです。

◆小沢一郎氏の「至言」

 政権党の妙味、来年度予算編成がこれからという事情も。そんなこんなで、いよいよ追い込まれるまでは民主党は動けないし、変に動きたくないのです。

 野党はというと、態勢が整わないうちの総選挙は分が悪い。自民はできれば不人気の菅政権を相手にしたまま戦いたいでしょう。

 公明も照準は来春の統一地方選に合わせていて、直ちに事を構えるつもりはないみたいです。

 かくて菅政権は低空飛行で続くのかも。少なくとも春までは。そのことも時代の閉塞感に拍車を掛けるのでは、と心配します。

 「一兵卒」になって民主党政権の欠陥がよく見えるのか、元代表の小沢一郎氏が的確なコメントをしていました。自分の「政治とカネ」の話は別として。

 今月はじめ、ネット番組に出演しての発言です。大事なところを一部分、つまみ食いします。

 「(民主党政権が)失敗したらごちゃごちゃになる。民主党が駄目になっても自民党に(政権を)返そうとは国民は思っていない。(総選挙で)民主も自民も過半数を取れない。グチャグチャになって、極右極左が出てくる」

 政権交代を待ちわびていた人々の深い失望が、どうしようもない政党不信、政治不信に発展しかねない。放置すれば政党政治は凋落(ちょうらく)して極端な言動がまかり通る世になる−と警告したのです。

 後日明らかになったことですが例の「尖閣ビデオ」流出事件。

 映像を流出させた海上保安官を無批判に英雄視する風潮を思うにつけ、小沢氏の指摘は誠に至言でありました。

 内政も外交も行き詰まり感が深まって無為無策の政治へ国民の不安と不満、憤りが高じています。

 戦前日本の破滅の歴史を思わざるを得ません。似ています。

 国家財政の危機と民の貧困、外交対立。閉塞状況下、政党は醜い争いに終始して国民の軽蔑(けいべつ)するところとなり、政党政治は瓦解。日本はファシズムへ、無謀な戦争へと傾斜していったのでした。

 曲がりなりにも一年は首相を務めた安倍晋三氏が、かの海上保安官の「勇気」をたたえれば、人権派弁護士を自負していた仙谷由人官房長官は、情報統制の強化を平気で口にする。

 情けないのは、浅はかな身内を手厳しく〓(しか)る政治家が自民にも民主にも見当たらないことです。

 政党政治の座標軸が狂っています。こういうときこそ国会が正しく機能すべきなのに、怒鳴り合いと揚げ足取り。与党も野党も非生産的なことこの上ありません。

◆首相自ら手本を示せ

 この体たらくを菅首相はどうお考えか。国民の不安と不満に応えずに「石にかじりついて頑張る」と力まれても鼻白むだけです。

 精査して、やるべきはやる、そして信を問う。当たり前の政治の手本を示すことです。気迫がまだあれば、の話ではありますが。

 

この記事を印刷する





おすすめサイト

ads by adingo