HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38027 Content-Type: text/html ETag: "15c1e2-168a-68696c40" Expires: Sun, 21 Nov 2010 02:21:09 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 21 Nov 2010 02:21:09 GMT Connection: close GDP拡大 見かけの高成長に気を許すな : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

GDP拡大 見かけの高成長に気を許すな(11月21日付・読売社説)

 まずまずの成長を実現したが、持続力には疑問符がつく。先行き、景気悪化への警戒を緩めてはならない。

 7〜9月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比0・9%増と、4四半期連続でプラスだった。1年に換算すると3・9%の成長率になる。

 エコカー補助金の期限切れを控えた駆け込み需要や夏の猛暑で、自動車やエアコンが売れ、内需の柱である個人消費が急増した。

 ただし、一時的な特需で押し上げられたもので、地に足のついた内需中心の成長を取り戻したわけではない。10〜12月期は消費の反動減などで、一転してマイナス成長になるとの見方も強い。

 平均株価が1万円台を回復し、明るさも見えるが、油断は禁物だ。政府・日銀は、景気の下支えに万全を期してもらいたい。

 今回のGDPは、内需とうらはらに、これまで成長を下支えしてきた外需が、ほぼゼロ成長になった。円高と海外経済の減速で、輸出の伸びが鈍ったためだ。

 政府・日銀は9月中旬、円急騰に歯止めをかけようと、6年半ぶりに市場介入したが、円高圧力は残っている。やっと回復してきた企業収益が、下半期に下振れする懸念はぬぐえない。

 円高は輸入品を安く買えるメリットもあるが、物価の下落が景気を冷やし、失業などを増やす副作用を忘れてはなるまい。

 政府・日銀は、行き過ぎた円高を阻止する断固とした姿勢を維持する必要がある。

 7〜9月期は元気に見えた内需も、今後は不透明感が強まりそうだ。10月は、自動車販売が前年同月より2割以上減り、たばこも増税の影響で7割減となった。

 12月に家電エコポイントが減らされるため、今は薄型テレビなどの販売が好調だが、これも長続きはしないだろう。

 内需の大きな落ち込みを避けるには、補正予算を早期に成立させ、公共事業など緊急経済対策の執行を急がねばならない。

 財政支出のカンフル剤で需要不足を補う間に、民間主導の成長の基盤を作ることが重要である。

 だが、成長戦略をめぐる菅政権の論議はちぐはぐだ。戦略の目玉となる法人税減税は、多くの財源を産業界の追加負担でまかなう案が有力という。これでは、企業活性化の効果がそがれてしまう。

 経済効果の薄いバラマキ政策をやめれば財源は確保できる。菅首相は指導力を発揮し、政策の優先順位を入れ替えるべきだ。

2010年11月21日01時20分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です