HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 36624 Content-Type: text/html ETag: "f9a22-1366-69114500" Expires: Sat, 20 Nov 2010 21:21:30 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 20 Nov 2010 21:21:30 GMT Connection: close 11月21日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

11月21日付 編集手帳

 高齢者を狙う振り込め詐欺ほど、悪辣(あくらつ)な犯罪はない。だから、犯人たちを語る時につい、「連中」とか「ヤツら」といった言葉を交えて(ののし)りたくなる。少なくとも「さん」を付けて呼びかけるほど寛大にはなれない◆なのに、この人の、この優しさはどうだろう。さいたま市で振り込め詐欺防止キャンペーンのポスターを見た。99歳の詩人、柴田トヨさんの「振り込め詐欺犯さんに」と題した一編の詩が、作者の写真とともに載っている◆〈今 あなたの/している事を知ったら/あなたの家族は/どう思うかしら/子供の頃/あなたには/やさしい心があった(はず)/風の(ささや)きも/聞こえた筈よ/弱い人たちを/苦しめないで/その知恵を/良い事に使ってください〉◆埼玉県警の依頼を快諾して作ったという詐欺犯に()てたメッセージである。あんな連中には無駄な呼びかけでしょう…とトヨさんの笑顔に向かってつぶやきつつ、この底なしの寛容さに心を揺らす“振り込め詐欺犯さん”が、100人に1人でもいて欲しいと願う◆ポスターは先日から銀行などで張り出されているが、埼玉県内のみではもったいない。

2010年11月21日01時20分  読売新聞)
現在位置は
です