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【社説】

ネット選挙 走りながら考えよう

2010年11月21日

 ネット選挙はいつ解禁されるのか。民主党は今国会での法案成立と、来春の統一地方選からの導入を目指すという。一度は与野党が合意した懸案。対決国会での全会一致モデルになればいいのだが。

 「世間の常識は永田町の非常識」と揶揄(やゆ)されるのが、ネット選挙だ。総務省の情報通信白書によると、昨年末のインターネット利用人口は九千四百万人。子どもや高齢者を除けば、100%近い普及率といえる。なのに、公選法が選挙中に規制する投票依頼目的の文書図画にホームページ(HP)やブログ、電子メールも当たるため、使えない。

 政権交代後に解禁への動きが加速した。参院選直前の今年五月、政党や候補にHP更新を認める改正案で与野党が一致。「なりすまし」が起きやすいメールは禁止、ツイッターは自粛としたものの、大事な一歩と期待された。だが、鳩山由紀夫前首相が辞任し、引き継いだ菅直人首相は会期末にこだわり、法案は提出されなかった。

 ネット選挙の目的の一つは、投票率を高めること。若い世代への有力な情報伝達手段となる。ビラやはがきの手間が省け、カネのかからない選挙にもつながる。まず候補者側から情報発信し、次に有権者からの双方向で政治参加を促す。定着すれば、政策立案で協働していくこともできよう。

 先進国で未解禁は日本ぐらい。オバマ米大統領がネットを通じて若者の支持を集めたことは記憶に新しい。韓国では書き込みの実名制度で「なりすまし」を防いでいる。ツイッターを駆使した今年の統一地方選の投票率は、史上二番目に高い54・5%だった。

 わが国の消極派は、誹謗(ひぼう)中傷の激増を懸念する。尖閣諸島沖の漁船衝突映像流出ではネットの身近さとともに、怖さを思い知らされた。統一地方選での解禁に、各自治体が弱腰になりかねない。しかし規制を強化しすぎて活用が萎縮(いしゅく)すれば本末転倒だ。発信者情報の開示請求権や義務を定めたプロバイダー責任制限法の運用で健全性は保たれるはずだ。

 民主党内には一挙にメール、ツイッターの解禁を唱える声もある。ここは、一度合意した段階的な導入でスタートし、走りながら改良や拡充を考えてはどうだろう。当初は混乱もあろうが、名前の連呼から政策本位へ、まず選挙の風景を変えていかなければならない。戸別訪問を緩めるのか、電子投票を進めるのか、次には公選法の抜本改正へ向けた課題も控えている。

 

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