HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sat, 20 Nov 2010 01:12:54 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:介護保険 民主党はどう見直す:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

介護保険 民主党はどう見直す

2010年11月20日

 厚生労働省が示した二〇一二年度からの介護保険制度見直しの素案にはやむを得ない面もあるが、多くが介護給付の抑制につながり、利用者の反発は免れない。最終決定する民主党の責任は大きい。

 素案は介護保険の財源確保のため、利用者の負担増や給付の縮小を柱にさまざまな案を示した。

 介護保険サービス利用時の自己負担割合は通常一割だが、第一号被保険者(六十五歳以上)のうち高所得者に限り二割に引き上げる。介護度が軽い「要支援」者の自己負担を増やし、一部サービスを保険外とする。

 さらに介護施設入所者の所得把握の厳格化、施設の相部屋入居者からの室料徴収、保険料徴収の対象を現行の四十歳以上から引き下げる案なども提示している。

 社会保険制度の中で、介護保険ほど国民から歓迎されたものはない。高齢化の進行に伴い、家族介護が限界に達し、介護の社会化がそれにこたえたといっていい。

 だが、高所得者の高齢者といえども二割の利用者負担は介護保険の利用を差し控えることにつながり、かえって重度化しかねない。

 保険料徴収の対象者の引き下げは、医療、年金保険料の引き上げもある若い世代の納得が簡単に得られるとは思えない。

 どの選択肢をとっても利用者から相当な反発が予想される。

 とはいえ利用の仕方にも問題がある。特別養護老人ホームなどの施設に入所するために直前に家族と「世帯分離」して低所得に見せかけ、部屋代や食事代を少ない負担で済ますケースが少なくない。

 また、軽度者ほど訪問介護を身体介護ではなく掃除など生活援助に利用して体を動かさなくなり、かえって体力が衰えるなど「予防給付」の本来の趣旨から外れる使い方が増えてきているという。

 不正まがいや不適切な使用は制度の公正な運営を妨げる以上、効果的な抑制方法を検討すべきだ。

 六十五歳以上の月当たりの平均保険料は制度発足以来上がり続け、現行制度のままだと一二年度以降五千円を超すとみられる。最大の要因は要介護・支援者の増加による総介護費用の増大だ。高齢化の進行で今後も同じ傾向が続く限り、膨張し続ける。

 その費用を賄う安定財源がない中、素案に掲げた選択肢の中から最終的に、どの組み合わせを実行するかは政権を担う民主党次第だ。介護保険を今後、安定的に持続させていくための方策を政治主導で示してもらいたい。

 

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