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日航整理解雇 労使対立を収拾し出直し急げ(11月19日付・読売社説)

 巨額の公的資金を投入して再生を進める以上、リストラの痛みに耐えるしかあるまい。

 更生手続き中の日本航空が、最大250人のパイロットや客室乗務員を対象に整理解雇を実施すると発表した。

 整理解雇は、経営不振に陥った企業が雇用契約を一方的に取り消す措置だ。「解雇が必要か」「手続きが妥当か」など実施には厳しい条件のクリアが必要である。

 経営側が組合とギリギリまで話し合いの努力を続けるのは当然だが、「不当解雇」を主張する組合も、社内の混乱が続けば再建計画自体が頓挫しかねないことを理解しておかねばならない。

 日航は8月末に東京地裁に提出した更生計画案に沿って徹底したリストラを進めている。来年3月までにグループ全体で1万6000人を削減する目標だ。

 日航本体では、すでに5000人以上が早期退職などに応じ、さらに1500人の削減を目指して9月から3回にわたって希望退職者を募集した。

 整理解雇に踏み切るのは、パイロットや客室乗務員の応募者が、目標を大幅に下回ったためだ。

 一部の組合は「対象者を選ぶ基準が合理的ではない」などと整理解雇の撤回を求め、ストライキや訴訟など対抗手段も辞さない構えを示している。

 しかし、事業規模を3分の2まで縮小する日航にとって、余剰人員の整理は再建の大前提だ。特に高給批判が根強いパイロットなどの削減は、経営悪化の一因となった高コスト体質にメスを入れる観点からも避けて通れない。

 そもそも日航は一度破綻(はたん)した企業であり、再建には企業再生支援機構を通じて公的資金が投じられる。その重みを考えれば、一部労組の主張は国民の理解を得られないのではないか。

 日航再建は、これからが正念場だ。今月末に更生計画案が認可されれば、支援機構による出資や銀行団の新規融資などが実施される。破綻前に就任した役員の大半が退任し、来月からは新たな経営体制がスタートする予定だ。

 新経営陣は、稲盛和夫会長の出身母体である京セラや支援機構から派遣された役員らが、主導する形となる。

 破綻に至るまで、日航では様々な再建策が示されては強硬な反発が巻き起こり、経営陣が腰砕けになって改革が進まなかった歴史がある。労使が、今度こそ甘い体質と決別しない限り、日航は生まれ変われないだろう。

2010年11月19日01時16分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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