HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 18 Nov 2010 20:12:52 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:参院定数訴訟 『一票の格差』正すとき:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

参院定数訴訟 『一票の格差』正すとき

2010年11月18日

 今夏の参院選をめぐる「一票の格差」訴訟で、東京高裁は二つの法廷で「違憲」と「合憲」に分かれた。ただし投票価値の大きな不平等はともに認めている。国会は速やかに是正に動きだすべきだ。

 「憲法違反」と断じた判決は、「一票の格差」の問題を放置してきた国会の怠慢をまさに厳しく〓責(しっせき)するものだ。参院のみならず、衆院の議員も、この判断を重く受け止めねばならない。

 そもそも投票価値の平等は、憲法が定めた「法の下の平等」などの規定で要請されているものだ。今年の参院選で最大で五倍もの格差があったということは、ある人が「一票」を持っているのに、ある人は「〇・二票」しかないのと同じである。

 仮に男性が「一票」で、女性が「〇・二票」であるならば、ただちに憲法違反になるのは当然である。問題は都道府県という単位で、参院選の選挙区選挙が行われている点にある。高裁判決は「都道府県のまとまりを考慮しても、居住場所によって差別することになる」と明快に述べている。

 しかも、国会は格差を拡大しないよう不断の配慮をすべきであったのに、格差は「常に五倍前後で推移し、著しい不平等が長期間継続した」ことを重視した。国会に対する“宿題”というよりも、一刻も早く是正すべしとの“命令”とみるべきである。

 確かに選挙制度の仕組みを決める国会の裁量権はある。別の原告が起こした訴訟で、「合憲」とした判決は、むしろ、この裁量権を考慮した結果である。

 しかし、「合憲」判決の中でも、大きな不平等があることは認め、「国会で喫緊の国民的課題として速やかに投票価値の平等の重要性を踏まえ、検討することが望まれる」と注文を付けた。

 では、国会の対応はどうだろうか。先月上旬、参院の正副両議長と各会派の代表が集まり、「選挙制度の改革に関する検討会」を設置することとなった。

 二〇一三年から新制度とするため、今年中に大枠をまとめるというが、具体的な動きはいまだよく見えない。

 民主党は参院選公約で衆参の定数削減を明記したが、「一票の格差」の是正とどう両立させるのか。こちらも手付かずだ。

 東京高裁の“ねじれ判決”は、いずれ最高裁で決着がつくが、その前に国会自らが積極的に格差是正の方策を打たないと、政治への国民不信はさらに広がる。

 

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