HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37590 Content-Type: text/html ETag: "15dcd0-16e2-242aaf80" Expires: Wed, 17 Nov 2010 22:21:37 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 17 Nov 2010 22:21:37 GMT Connection: close 参院1票の格差 早急な是正を迫る高裁判決 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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参院1票の格差 早急な是正を迫る高裁判決(11月18日付・読売社説)

 遅々として是正されない「1票の格差」について、裁判所が改めて警鐘を鳴らした。

 7月の参院選における選挙区選の定数配分は、法の下の平等などを定めた憲法に違反するかどうか。それが争われた5件の訴訟の判決が東京高裁で言い渡された。

 結論は、1件が「違憲」、4件が「合憲」と、審理した裁判官によって判断が分かれた。

 参院の定数訴訟で違憲判断が示されたのは、1993年の大阪高裁判決以来である。

 合憲と判断しながらも、早期の格差是正を促す判決もあった。1票の格差が、違憲のレベルに迫っているという認識からだろう。

 選挙区選の定数を増減する従来の弥縫(びほう)策を続けることは、もはや許されない。参院は早急に抜本策を講じる必要がある。

 先の参院選で、1票の最大格差は、神奈川県と鳥取県選挙区の間の5・00倍だった。こうした状況を受け、東京、神奈川、千葉の有権者がそれぞれ都県選管を相手取り、選挙の無効を訴えていた。

 違憲判決は、選挙無効の訴えは退けたものの、最大格差が5倍前後で推移している現状について、「投票価値の著しい不平等状態」と批判した。「選挙人を居住場所によって差別することは是認できない」と結論付けた。

 一部の合憲判決は「現行の制度を維持する限り、格差の大幅縮小は困難」として、選挙制度そのものを見直すべきだと指摘した。いずれももっともな判断である。

 この際、参院だけでなく衆院も合わせ、それぞれにどんな役割と権能を持たせるか、二院制のあり方から議論すべきではないか。

 衆参両院が、共に選挙区選と比例選の2本立てで、似通った制度であることへの批判も強い。この点の検討も欠かせまい。

 参院はすでに、格差是正を図るための選挙制度の見直しで各党・会派が合意している。

 与野党対立の(あお)りを受けて、具体的な議論は始まっていないが、今回の判決を踏まえ、作業を急ぐ必要がある。

 衆院は、格差是正も選挙制度もまったく議論が手つかずだ。

 しかし、格差が2倍を超えていた昨年の衆院選に対しても、各高裁で「違憲」「違憲状態」判決が相次いでいる。衆院は怠慢のそしりを免れない。

 参院と同様、衆院も格差是正の議論に着手すべきだ。それが、衆参一体で議論に取り組む環境の整備につながろう。

2010年11月18日01時26分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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