HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37911 Content-Type: text/html ETag: "15dced-16bd-4844cf40" Expires: Tue, 16 Nov 2010 02:21:37 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 16 Nov 2010 02:21:37 GMT Connection: close 白鵬敗れる よくやった63連勝、次に期待 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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白鵬敗れる よくやった63連勝、次に期待(11月16日付・読売社説)

 大相撲の横綱白鵬の連勝が63でストップした。残念ながら、双葉山の連勝記録である69には及ばなかった。

 だが、野球賭博事件などで危機的状況に陥った角界にあって、これほどまで土俵を盛り上げた功績は極めて大きい。大鵬、千代の富士を上回った連勝記録は実に立派である。

 白鵬は、まだ25歳だ。気持ちを切り替えて、ぜひとも双葉山の大記録に再挑戦してほしい。

 4場所連続で全勝優勝を成し遂げた最近の充実ぶりには、目を見張るものがあった。どっしりとした下半身で相手を組み止め、冷静に勝負を決める取り口からは、大横綱の風格を感じさせた。

 九州場所に入り、69連勝が現実味を帯びていただけに、2日目にしての敗戦は予想外だった。

 この日の白鵬の動きには、いつもの切れがなかった。終始攻勢だった稀勢の里の後手に回り、結局寄り切られた。体は土俵下の客席まで飛ばされ、1回転した。

 敗戦後、「相撲の流れにスキがあった」「慌てた」と悔しそうに語った。白鵬といえども記録を目前に硬さが生じたのだろうか。

 ライバルだった横綱朝青龍が不祥事で引退するなど、白鵬にとって、連勝をここまで伸ばす有利な事情があったことは確かだ。

 だが、一人横綱の重圧を一身に背負い、その責任を見事に果たしてきたことも間違いない。

 野球賭博事件の影響で天皇賜杯が授与されなかった7月の名古屋場所では表彰式の後、悔し涙を浮かべた。「力士代表として賜杯だけは頂きたかった」と語った。

 角界を支える横綱としての自覚がにじみ出ていた。相撲に真摯(しんし)に取り組む姿勢がファンの好感を呼び、連勝を続ける白鵬へは日増しに声援が大きくなっていた。

 白鵬を破った稀勢の里からは、横綱の連勝を阻止しようという気迫が伝わってきた。外国人力士の陰で、ふがいなさばかりが目立つ日本人力士が、意地を見せた格好となった。

 これを機に、ほかの日本人力士にも奮起を望みたい。

 角界ではこのところ、親方や力士の不祥事ばかりが注目されている。肝心の土俵にこれほどまで関心が集まったのは、本当に久しぶりのことである。

 やはり、土俵の充実があってこそ、角界の信頼も取り戻せるということだ。

 今場所一番の見所はなくなったが、ファンの目を引きつける熱戦をこれからも見せてほしい。

2010年11月16日01時53分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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