HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 16 Nov 2010 01:12:40 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:昔、中国で闘鶏飼いの名人が王から調教を依頼された。十日ほど…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年11月16日

 昔、中国で闘鶏飼いの名人が王から調教を依頼された。十日ほどして「もう使えるか」と尋ねられた名人の返答は「空威張りの最中でいけません」▼十日後は「まだ敵の声や姿に興奮します」。その十日後は、「敵を見下すところがある」。さらに十日すると闘鶏に使えると返事があった。「そばで他の鶏が鳴いていても平然として、木でつくった鶏のように動じません」と▼昭和十四年一月十五日、前頭の安芸ノ海に70連勝を阻まれた横綱双葉山が、漢学者の安岡正篤氏に打った電報<イマダモッケイタリエズ>で有名になった故事だ▼双葉山の大記録に迫っていた横綱白鵬はきのう、前頭の稀勢の里に敗れ連勝記録は63で止まった。強引に張り手を返すなど、冷静な横綱らしからぬ取り口。「流れにすきがあった」と語るように若さがのぞいた▼双葉山は年二場所の時代に四年がかりの達成だった。朝青龍の引退などライバルの不在もあり白鵬の記録を低く見る向きもあるが、不祥事が続く角界で、「国技」の屋台骨を一人で支えながらの偉大な記録である▼江戸勧進相撲とゆかりの深い富岡八幡宮(東京都江東区)の「超五十連勝力士碑」には、谷風、梅ケ谷、太刀山、双葉山、千代の富士の名が刻まれている。まだ二十五歳の横綱は、木鶏の境地を目指してほしい。碑には、名を刻む空白の面がいくつも残っている。

 

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