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11月14日付 編集手帳

 仕事に追われ、家庭や子どもはお構いなし。産婦人科医だった父のことは嫌いだった。小学6年の時、その父が心筋梗塞(こうそく)で逝く。中学に上がり、授業で父の仕事を調べることになった◆母が見せてくれた新聞の切り抜きで、過酷な労働実態を知る。一度に二つの命を預かる大変な仕事なのに、リスクは高いし訴訟を起こされることもある。なり手が少ない。「元気な赤ちゃんが生まれた時のお母さんや家族の笑顔が一番のやりがいね」と母は言う◆東京都内で開かれた第32回「少年の主張」全国大会で、宮城県代表の中学3年、辻永志穂さんが「誓い」と題して行ったスピーチだ。父を今では誇りに思う。そして自分も産婦人科医を目指し、過酷な労働状況を「何とか変えたい」と訴えた◆産科の医師不足は深刻な問題だ。お産を扱わない病院が増え、地域格差も広がっている。救急搬送された妊婦が受け入れられず、「たらい回し」に、という記事も目にする。医療行政の担当者に聞いてもらいたい主張だった◆辻永さんにとり、それは天職に違いない。目標に一歩一歩向かう愛娘(まなむすめ)の成長を、お父さんも見守っている。

2010年11月14日01時23分  読売新聞)
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