HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37841 Content-Type: text/html ETag: "dc25f-16f2-46ccb200" Expires: Thu, 11 Nov 2010 21:21:41 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 11 Nov 2010 21:21:41 GMT Connection: close 八ッ場ダム 遅すぎた「中止棚上げ」表明 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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八ッ場ダム 遅すぎた「中止棚上げ」表明(11月12日付・読売社説)

 群馬県の八ッ場ダムについて、馬淵国土交通相が、これまでの建設中止の方針を棚上げする意向を示した。

 事実上の中止撤回と受け止めてよかろう。

 多額の工事費を投入し、地元も建設促進を求めているにもかかわらず、昨年9月に発足した鳩山前内閣は、衆院選での政権公約(マニフェスト)をもとに、強引に八ッ場ダムの中止を決めた。

 それから1年以上過ぎ、ようやく非を認めた形だ。馬淵国交相は来秋までに最終的な結論を出すとしているが、それほど時間をかける必要はあるまい。

 地元住民と真摯(しんし)な話し合いを続ける中で、建設再開を早期に決めるべきであろう。

 洪水防止と水道用水の確保を目的とする八ッ場ダムは、総工費4600億円という国内最大級のダムだ。水没予定地からすでに多くの住民が移転し、国道の付け替え工事なども進んでいた。

 これに、突然待ったをかけたのが前原・前国交相だ。昨年9月の就任会見で中止を表明した。

 今回、馬淵国交相は前任者の考えをひっくり返したが、将来、馬淵氏が退任した後に元に戻るようでは困る。菅内閣として中止撤回を正式に決めてはどうか。

 民主党は「コンクリートから人へ」をスローガンに、公共事業を半ば罪悪視し、無駄の代表として八ッ場ダムを位置付けてきた。

 だが、政権公約作りの過程で、八ッ場ダムの必要性や地元の考えなどを真剣に検討した形跡はうかがえない。これでは自治体や住民はたまったものではない。

 関東地方の6都県は八ッ場ダム建設推進の立場だ。工事費の6割を負担する。

 国と地方合わせ、これまで工事に3000億円以上使ったが、国の都合で中止すれば、国は自治体の負担分の返還を迫られる。財政事情が厳しい中、そんな無駄は、それこそ許されまい。

 ダム建設の反対派は、6都県が推計した将来の水需要は過大だとして、工事費の差し止めを求める訴訟を各地で起こしたが、敗訴が続いている。裁判所が、自治体側の言い分を認めているわけだ。

 民主党の政権公約には、八ッ場ダム以外にも、特別会計などの見直しによる巨額な財源の捻出(ねんしゅつ)、といった無理な目標が数多く盛り込まれ、国政を混乱させている。

 菅内閣は、今回の馬淵発言を機に、マニフェスト至上主義を改め他の公約についても撤回・修正を大胆に進める必要がある。

2010年11月12日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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