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思いやり予算 「現状維持」は妥当な判断だ(11月12日付・読売社説)

 在日米軍駐留経費の日本側負担、いわゆる思いやり予算の日米交渉が、大詰めを迎えている。

 日本側は、現行水準を維持する方針だ。厳しい財政状況を理由に大幅な削減を求めていた当初の主張を転換した。「今日の安全保障環境からすれば、総額を極端に減らす妥当性はない」と北沢防衛相は明言する。

 米側は増額を要求し、決着の行方は流動的だが、「現状維持」との日本の方針は妥当と言える。

 防衛相の指摘通り、今の日本の安全保障環境は極めて厳しい。

 尖閣諸島沖の漁船衝突事件は、海軍力を背景に、領土と海洋権益の拡張になりふり構わず執着する中国の実像を見せつけた。その急速な軍備増強や活動範囲の拡大傾向は今後も衰えないだろう。

 北朝鮮の核とミサイルや、国際テロの脅威も厳然と存在する。

 様々な有事に対する在日米軍の抑止力の重要性は増している、と考えるべきだ。この時期に予算を減らせば、菅政権が安全保障に鈍感で、軽視しているとのメッセージを世界に与えかねない。

 米政府は、尖閣諸島は「日米安保条約の範囲内」との見解を示したが、その実効性は在日米軍の存在によって初めて担保される。

 思いやり予算は、基地従業員の労務費、光熱水料、施設整備費などで構成される。1999年度の2756億円から削減が続き、今年度は1881億円で、ピーク時の7割以下となった。

 思いやり予算の特別協定は2〜5年ごとに更新される。現協定は来年3月に切れるため、年内に交渉を妥結させる必要がある。

 民主党は一昨年、基地内の娯楽施設の労務費などを問題視し、現協定の国会承認案に反対した。政権交代後、普天間飛行場の移設問題が迷走した根本には、鳩山前首相らが米軍駐留の意義を「学習」していなかったことがある。

 米軍駐留経費の負担は、米国への「思いやり」でなく、日本の安全保障に必要な経費だ。無論、光熱水料などの無駄遣いは、徹底的に排除しなければならない。負担する内容を日本国民が納得できるものにすることが重要だ。

 現在の安保情勢を踏まえれば、日本の防衛費も、8年間も続く削減に歯止めをかける時である。

 来年度予算の概算要求基準は、一律10%削減という安直なものだった。民主党の政権公約のバラマキを削り、安全保障に回す――。そうした政策の優先順位の決定は官僚任せではできない。まさに政治が判断すべき案件だ。

2010年11月12日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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