HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Thu, 11 Nov 2010 20:10:58 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:太平洋自由貿易 横浜で開国への道探れ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

太平洋自由貿易 横浜で開国への道探れ

2010年11月11日

 菅政権が十三日から横浜で開かれるAPEC首脳会議を前にTPPへの参加表明を見送った。内向きでは日本経済の再生は危うい。首相は各国首脳と意見を交え、アジアに打って出る糸口を探れ。

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)で環太平洋連携協定(TPP)参加に積極姿勢を打ち出す。首脳会議で議長を務める菅直人首相はそんな期待を寄せていたが、思い通りに進んでいない。

 菅政権が閣議決定した自由貿易の基本方針に「TPP参加を目指す」との表記が見当たらない。民主党の農業関係議員の反対を恐れているのか。腰砕けも同然と言うほかない。

 TPPは米国や豪州、チリなど九カ国が参加し交渉を始めている。タイやフィリピンなど関心を寄せる国も少なくない。参加意思があいまいな日本を九カ国が直ちに受け入れるだろうか。交渉を主導するのは米国だ。オバマ大統領との首脳会談などを、交渉参加に道筋をつける好機とすべきだ。

 貿易のルールづくりは主に世界貿易機関で進められてきた。しかし交渉は百五十に上る加盟国の調整に手間取り、暗礁に乗り上げたままだ。今や交渉の舞台は二国間や、地域の複数国がルールを約束する自由貿易協定に移っている。

 当事国が少なく交渉が進めやすい半面、ルールの適用を締結国に限定する排他性を抱えており、貿易拡大で富の獲得を目指す日本は仲間に入らざるを得ない。

 韓国は米国、欧州連合との自由貿易協定交渉が妥結し、発効後十年で関税がゼロになるので、関税から逃れられない日本は自動車輸出などが決定的に不利となる。

 TPPは例外なき関税撤廃など自由度が格段に高い協定で、関税率が700%超のコメなど農産品への影響が避けられない。農業を競争力のある産業に育てる政策が不可欠だ。首相は予想される巨額の財政支援などに国民の理解を得る労苦を惜しんではならない。

 オバマ大統領がTPP交渉への参加を決断した背景には、米経済の立て直しを狙う輸出倍増計画に加え、二十一カ国・地域で構成するAPECとの合流も視野に入れた、中国を含む対アジアの影響力強化がある。日本の参加は普天間飛行場の移設問題などで安定さを欠く日米関係の立て直しにもつながるだろう。

 交渉期限は来年十一月。首相はその前の六月にまとめる農業対策を大幅に前倒しし、早期に参加を宣言する覚悟を示すべきだ。

 

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