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フェニックス(不死鳥)といえば古代エジプトの伝説の霊鳥で、永遠の命のシンボルとされる。最近では、その名をつけたカプセルが南米チリの地底深くから鉱山作業員を救い出し、世界から喝采を浴びた▼ニッポンの霞が関に巣くうフェニックスも、なかなかの不撓不屈(ふとうふくつ)ぶりである。政府の事業仕分けで「廃止」や「見直し」となったはずなのに、来年度予算の概算要求に鎮座している事業が多々ある。こっそりと、あるいは何食わぬ顔で、不死鳥さながらに甦(よみがえ)っている▼その諸相を、おとといの本紙記事が各種の魚介に例えていた。たとえばブリ型は、名前を変えて目を欺く。国交省の「観光圏整備事業」は「観光地域づくりプラットフォーム支援事業」と改名し、今年と同じ5億5千万円を求めてすまし顔だ▼凶暴なサメ型は奇策など弄(ろう)しない。仕分け結果にはお構いなしに予算に食らいつく。ほかにも、廃止とされた複数の事業を統合し、膨らませて居直るフグ型など、あれやこれやの生物多様性に富む▼画家の辻まことの愉快な画文集「虫類図譜」を思い出す。色々な事物を虫に見立てて皮肉っていて、政府の「政策」にも寸鉄を刺している。〈一応いつでも筋だけは通っている。(だが体中穴だらけで)臨機応変に身をくねらせては庶民の期待を穴から落(おと)しちまう。いやその上手なこと、芸だネ〉▼芸達者の目立つ政府与党だが、「仕分け」への期待はなお大きい。「不死鳥」をめぐる官僚との再試合に蓮舫さんは勝てようか。骨抜きクラゲの大発生は、勘弁を願いたい。