HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37744 Content-Type: text/html ETag: "15df37-1696-4183f100" Expires: Wed, 10 Nov 2010 20:21:44 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 10 Nov 2010 20:21:44 GMT Connection: close 空港特会見直し 整備から経営へ軸足を移せ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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空港特会見直し 整備から経営へ軸足を移せ(11月11日付・読売社説)

 空港の建設費を賄う国の特別会計を廃止するよう、行政刷新会議が事業仕分けで判定した。

 空港整備は、地方の意向を受けた政治圧力と、国土交通省の甘い需要見通しが一体となって全国に赤字空港を造り続けた歴史を持つ。

 自民党政権を象徴した利益誘導型の公共事業と決別し、空港乱造を支えた空港特会を40年ぶりに見直すことは、政権交代の一つの成果と言えよう。

 国交省は、空港行政を施設整備を優先する発想から、国際競争力を高める経営感覚を促す方向に転換すべきである。

 問題となっているのは、社会資本整備事業特別会計の空港整備勘定だ。全国の空港から集めた着陸料などをプールし、地方空港の建設などにばらまく仕組みだ。

 国内には離島や過疎地を含め98空港がひしめき、今年3月に開港した茨城空港で整備はほぼ完了した。予算を大盤振る舞いする必要性は薄れており、その観点から抜本的な改革が迫られていた。

 空港勘定の財源の約6割を占めるのは、航空会社が負担する空港使用料や航空機燃料税だ。財源を確保するため、世界に類を見ない高い着陸料が維持され、それが航空会社の経営を圧迫している。

 航空会社の負担は乗客に転嫁され、世界一高い航空運賃として跳ね返っている。低コストを最優先する格安航空会社の存在感が高まり、このままでは日本の空港の国際競争力は低下する一方だ。

 空港勘定は、羽田空港拡張などで約1兆円の借金を抱える。仕分けでは、この返済にメドが付くまで廃止を猶予する方針も示された。国民負担の増大を考えれば、経過措置もやむを得まい。

 しかし、国交省は、その間に空港が行政に頼らず自立して経営できるための方策について、検討を急がねばならない。

 前提となるのは、経営の透明化だ。国が管理する26空港のうち20空港が2007年度に営業赤字だった。だが、大半の地方空港は収支を公表していない。実態が明らかになれば、廃港や近隣空港との統合などの判断も出てこよう。

 拠点空港は民営化し、収益性が高い空港ビルや駐車場など周辺施設との一体運営の道を探るべきだ。商業施設の収益を取り込む手法は、海外では一般的だ。

 32年ぶりの羽田国際化で、多くの国民が利便性を実感した。空港をうまく活用すれば、地域の活性化や日本の成長戦略にも役立つという視点を忘れてはなるまい。

2010年11月11日01時21分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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