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１１月８日付　よみうり寸評

　〈下克上〉といわれたクライマックスシリーズから日本シリーズまで勝ち抜いて、プロ野球日本一に輝いた〈ミラクル・ロッテ〉は〈和のロッテ〉でもあった◆西村徳文監督は就任１年目の今年、〈和〉をスローガンに掲げた。バレンタイン前監督の解任騒ぎでナイン、フロント、ファンがばらばらだったこともあった◆チームを立て直しミラクルを成し遂げるためには和が欠かせなかった。和は古くからわが国で最も大切な徳目。聖徳太子は十七条憲法の冒頭に〈和をもって貴しとなす〉を掲げている◆チームにスーパースターはいない。が、シリーズ７試合通算のチーム最多安打記録となった７６本はつながる打線、和の象徴だ◆一昨日の１５回５時間４３分、昨日の１２回４時間５６分の長時間試合は双方の粘りのあらわれ。２―２の投手戦、８―７の打撃戦、ミスもあったが、両方が楽しめた◆リーグ３位の日本一に疑問もあるが、今年のように両リーグとも１～３位が超僅差(きんさ)だと、この制度、下克上も面白いという話にもなる。

（2010年11月8日13時45分読売新聞）

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