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ブラジル 好調経済が生んだ女性大統領(11月7日付・読売社説)

 21世紀の世界経済を(けん)(いん)する南米の大国ブラジルに、女性大統領が生まれることになった。

 ルラ大統領の任期満了に伴う大統領選挙で、与党・労働者党のジルマ・ルセフ元官房長官が先月、決選投票の末に野党候補を下し、当選した。来年1月に就任する。

 ルセフ氏が継承するのは、今年7%台の成長が見込まれる、世界でも有数の好調な経済だ。当選後の記者会見では、「経済の安定成長と貧困の撲滅、ブラジルの国際的な地位の向上に努める」と、ルラ路線の継続を約束した。

 元左翼活動家から行政官に転身したルセフ氏は、行政能力こそ折り紙付きだが、政治家としての能力は未知数だ。

 当選できたのは、圧倒的多数の国民が支持するルラ現大統領が後ろ盾になっていたことが大きい。独り立ちしても指導力を発揮していくことが求められよう。

 “師匠”のルラ氏は立志伝中の人物だ。貧しい家庭に育ち、旋盤工から労働組合の闘士を経て、4度目の挑戦で大統領になった。

 就任当時は急進左派と警戒されたが、その経済政策は現実的で、激しいインフレを収束させたカルドゾ前政権の財政安定化政策を踏襲し、世界10位内の経済大国へ発展させた。債務危機の常連国は、純債権国へと面貌(めんぼう)を一新した。

 その繁栄を背景に、低所得者層へ生活支援を行って所得水準を向上させた結果、中間層は約1億人に拡大した。

 国際社会では、開発途上国の代表としての発言力を強めた。

 ブラジルは、世界20か国・地域(G20)首脳会議の一員であり、日本やインド、ドイツと組んで、国連安全保障理事会の改革に取り組んでいる。ロシア、インド、中国とは新興4か国(BRICs)首脳会議を開いている。

 2014年のサッカーW杯、16年のリオデジャネイロ夏季五輪の開催は一層の飛躍につながる。

 ブラジルは、鉄鉱石やボーキサイト、レアアースなど豊富な鉱物資源を持ち、近年は、深海油田の開発が進んでいる。

 資源の調達先としても、巨大な消費市場としても、日本には重要な国だが、中国や韓国、欧米各国との競争は激しくなっている。

 日本は、移民100年の歴史などを通じてなじみが深い。そのきずなは最大限に生かしたい。女性大統領の登場を機に、省エネや農業開発、環境ビジネス、高速鉄道、宇宙開発など各分野で、両国関係をさらに進展させるべきだ。

2010年11月7日03時01分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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