HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37450 Content-Type: text/html ETag: "15c1b0-160b-b7f3cf00" Expires: Thu, 04 Nov 2010 20:21:37 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 04 Nov 2010 20:21:37 GMT Connection: close 米追加金融緩和 80円突破への警戒を怠るな : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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米追加金融緩和 80円突破への警戒を怠るな(11月5日付・読売社説)

 米連邦準備制度理事会(FRB)が、事前予想通り、大胆な追加金融緩和に踏み切った。

 低迷する米景気をテコ入れするのが狙いだが、市場に大量のドル資金が供給されることで、今後、円高・ドル安が加速しかねない。

 政府・日銀は円急騰への警戒を緩めず、相場の動きによっては、再度の為替介入を実施し、円高阻止に動く必要があろう。

 FRBの追加策は、来年6月末までの8か月間にわたり、6000億ドル(約48兆円)の米長期国債を買い入れる内容だ。

 2年前の金融危機後に量的緩和を実施し、昨秋に国債購入をいったん終了したが、大規模な購入再開に追い込まれたとも言える。

 米国の失業率は9%台後半に高止まりし、7〜9月期の経済成長率は2%と低調だ。消費者物価上昇率は1%を切り、日本型のデフレに陥ることが懸念される。

 FRBは声明で、「雇用と景気の回復ペースは遅く、物価水準も低い」と指摘し、景気下支えと物価安定を目指す考えを示した。

 FRBは事実上のゼロ金利政策の維持も決めたが、金利引き下げの余地はない。今回、必要に応じ、国債の購入規模を増やす可能性を示唆した点にも注目したい。

 ただ、量的緩和策の効果は未知数だ。FRBは今後、一層難しい(かじ)取りを迫られよう。

 米国が超低金利を継続し、巨額資金を供給し続ける副作用には注意しなければなるまい。

 まず心配されるのが為替相場への影響だ。ドルは円やユーロなどに対し下落しており、ドルの先安観がくすぶっている。

 4日の円相場は1ドル=81円前後と小動きだったが、米国経済の先行きは不透明だ。15年半前につけた円の史上最高値の79円台をうかがう展開もあり得よう。

 米当局が、輸出増での景気下支えを狙い、ドル安を事実上容認しているとみられることも、根強いドル売り圧力の背景にある。

 日銀は予定を繰り上げ、4日から金融政策決定会合を開いている。過度な為替変動に対しては、政府と連携し、迅速に対応することが必要だ。

 米金融緩和策は、ドル安をきっかけに、世界の「通貨安競争」を引き起こしたとされる。あふれた過剰マネーが新興国に流れ込み、資産バブルも招いている。

 米国経済の再生は、世界の景気回復のカギを握る。米金融政策の動向から当面、目が離せない状況が続きそうだ。

2010年11月5日01時32分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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