HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 17356 Content-Type: text/html ETag: "62b2f1-43cc-456a3180" Cache-Control: max-age=5 Expires: Thu, 04 Nov 2010 02:21:42 GMT Date: Thu, 04 Nov 2010 02:21:37 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
現在位置:
  1. asahi.com
  2. 天声人語

天声人語

Astandなら過去の朝日新聞天声人語が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら)

2010年11月4日(木)付

印刷

 セオドア・ソレンセン氏の名は知らなくても、ケネディ大統領の就任演説にあった「松明(たいまつ)は新しい世代に引き継がれた」の名文句をご記憶の方はおられよう。大統領の名スピーチライターとして知られた氏の訃報(ふほう)に、この秋がケネディ当選から50年になるのを思い出した▼米国では、11月は選挙の月だ。2年前に当選したオバマ大統領は、若き指導者のイメージがケネディにたとえられた。だが昨今、「チェンジ」の松明はかげりが目立っていた。仕事への評価ともされる中間選挙での、案の定の手痛い敗北である▼「茶会選挙」として将来に記憶されよう。怒れる白人中間層らによる「茶会」という草の根保守が風を起こした。いわゆる「小さな政府」を求め、オバマ政権が取り組む医療保険の改革さえ「社会主義」と嫌う人たちだ▼富豪になるのも、野垂れ死ぬのも自分次第。政府はかまってくれるな。そう考える人々には、納めた税金が、弱者や企業の救済に使われるのは納得できない。米国の伝統的な自由は、ときに日本人の理解を超えて激しい▼「真に偉大な大統領になりたい。情けない大統領ならいくらでもいるから」とオバマ氏は語っていた。だが最近はケネディから一転、フーバー大統領に重ねる声も聞こえてくる。大恐慌に無策で、路上生活者のかぶる新聞が「フーバー毛布」と言われるなどした人だ。後世の評価は散々である▼オバマ氏の存在感は世界で大きい。だが内政でつまずけば、核廃絶の松明も消えてしまいかねない。憂えつつ、任期の後半を注視する。

PR情報