HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 28 Oct 2010 22:13:10 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:仕分け第3弾 勢いが消えかけてきた:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

仕分け第3弾 勢いが消えかけてきた

2010年10月29日

 事業仕分けの第三弾が続いている。特別会計を対象にした今回の仕分けは、これまで以上に難しさがある。だが、役所の焼け太りのような仕分け結果もあった。もっと鋭い切り込みが必要だ。

 昨年から始まった事業仕分けは、これで三回目だ。もともと民主党政権は仕分けで政策財源を生み出す算段をつけていたが、昨年は目標に遠く届かず、七千億円程度を捻出(ねんしゅつ)したにすぎなかった。

 ここ数年の予算編成で、すぐ発掘できるような埋蔵金も底をつき始めて、菅直人政権は「埋蔵金だけでなく、埋蔵借金もある」と事前に予防線を張っていた。期待値を下げたのだ。

 案の定というべきか、議論には初めのころのような迫力がない。それどころか、実は「舞台裏で落としどころを役所と手を握っていたのではないか」と疑いたくなる結論さえ導かれた。

 その一例は、貿易再保険特別会計である。この特会は貿易振興を狙いに、独立行政法人の日本貿易保険が輸出企業などから引き受けた保険を国が再保険に応じて、リスクを分担する仕組みだ。

 本来なら、民間保険会社の参入を促し、競争環境を整えることによって保険料を引き下げ、貿易を活発にすべきだ。そのために独法の民営化が最重要課題だった。

 ところが、仕分けは特会を廃止する一方、特会業務を独法に一本化して肩代わりさせる結論を出した。これでは民営化どころか、逆に国が権威付けて、ピカピカの「日の丸独法」に生まれ変わらせてしまったようなものだ。

 「民間にできる仕事は民間に」という理念は民主党政権も共有していたはずだ。まさか独法を含めた公的部門がますます肥大化していいとは思っていないだろう。

 仕分け人からは「保険料率は競争で決めよ」とか「民間参入を促進すべきだ」というまっとうな意見も出ていた。それが生かされなかったのは、なぜなのか。

 労働保険特会では雇用安定、能力開発の名の下に事業の重複などが指摘された。約千六百億円もの予算の使い残しを出しながら、一般会計から税金を繰り入れている実態もあきらかになった。

 雇用を聖域化して、役所が事業の改廃を怠ってきた結果である。社会資本整備事業特会のスーパー堤防や造りすぎた空港も同じ構図だ。制度改正は最終的に法律改正を伴う。役人の骨抜きを許さぬよう、行政刷新会議は「仕分け後」にも目を光らせねばならない。

 

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