HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37527 Content-Type: text/html ETag: "100afb-159c-9e4e7b00" Expires: Wed, 27 Oct 2010 23:21:33 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 27 Oct 2010 23:21:33 GMT Connection: close 国民読書年 活字に親しみ心豊かな生活を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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国民読書年 活字に親しみ心豊かな生活を(10月28日付・読売社説)

 読書の秋。27日から2週間にわたる読書週間が始まった。

 今年は国民読書年でもある。各地で開催されるシンポジウムや朗読会などの催しも、例年以上に盛り上がりを見せている。良書と巡り合うよい機会でもあろう。

 2010年を国民読書年とする衆参両院の決議は、それぞれ2年前に全会一致で採択された。

 文字・活字文化はあらゆる文化活動の基盤となるものだ。人々の活字離れが進み、読解力や言語力が衰退すれば、日本社会の活力も失われかねない。

 しかし、今年度の政府予算は、国民読書年の趣旨にむしろ逆行するものと言わざるを得ない。

 子どもの読書活動推進事業費が前年の半分以下に削減された。民間読書活動などを支援する「子どもゆめ基金」も、政府の出資金100億円が国庫に返納される。

 いずれも、行政刷新会議の事業仕分けで「廃止」と判定されたことを受けたものだ。

 それならば、民主党政権として新たな読書振興策を打ち出すべきではないか。

 山岡賢次・民主党副代表を会長とする超党派の活字文化議員連盟は、国会図書館や公共図書館の整備・拡充などを骨子とする5か年計画を提言した。

 図書館に学校司書が常駐する小中学校は全体の40%にも満たないが、すべての学校にすみやかに配置することも求めている。

 これらの施策を実現するためには、国や自治体の積極的な財源措置が欠かせない。

 今年は「電子書籍元年」とも言われている。「iPad(アイパッド)」などの便利な端末が相次いで登場した。一部の出版社も電子書籍向けのコンテンツ(情報内容)の拡充を急いでいる。

 民間調査機関の推計によると、電子出版の市場規模は、出版市場全体の2%に過ぎないが、2020年までに10倍になるという予測もある。

 しかし、質感のある紙の本にこそ愛着が持てるという人も多いことだろう。子どもには、電子書籍の画面を通した読書ではなく、紙の本をじっくり読ませたいという意見も根強い。

 書店サイドには、電子書籍の普及に対抗し、本の展示方法や品ぞろえを工夫して読者を引きつけようとする動きもある。

 電子書籍という“黒船”の到来も一つの刺激としながら、心豊かな活字文化を築いていく、そんな国民読書年としたい。

2010年10月28日01時21分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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