HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37452 Content-Type: text/html ETag: "15cecc-15aa-9e4e7b00" Expires: Wed, 27 Oct 2010 22:21:22 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 27 Oct 2010 22:21:22 GMT Connection: close 高齢者医療制度 財源論抜きで改革は進まない : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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高齢者医療制度 財源論抜きで改革は進まない(10月28日付・読売社説)

 社会保障全体の財源論を欠いたまま、高齢者医療の負担を押しつけ合っても、「新しい高齢者医療制度」は国民に受け入れられないだろう。

 厚生労働省が、後期高齢者医療制度に代わる新制度について、高齢者と現役世代が負担する保険料などの見通しを「高齢者医療制度改革会議」に示した。

 75歳以上の後期高齢者の保険料負担を抑えるため、大企業の健保組合や公務員の共済組合に負担増を求める。一方で、70〜74歳の医療費の窓口負担を、現行の原則1割から2割へと段階的に引き上げる――といった内容だ。

 医療費のかかる後期高齢者は今後、大きく増加する。その負担を後期高齢者だけに求めきれない以上、どこかで肩代わりしなければならない。負担の見直しは、やむを得まい。

 だが、負担増を迫られる層の納得は得られるだろうか。

 高齢者だけでなく、現役世代も苦しい。大企業の健保組合も保険料の上昇に耐えられず、解散する事例が相次いでいる。世代を問わず、保険料や窓口負担の重さは限界に近い。

 そうであれば、公費の投入を増やすしかない。そのためには消費税で社会保障財源を確保し、どこまで公費を拡大できるか、併せて検討することが不可欠だ。

 しかし、そうした財源論がないまま、新しい制度の議論が進められている。政府・与党が「後期高齢者医療制度を廃止する」という政権公約(マニフェスト)の実行を急いでいるからだ。

 政府が構想する「新制度」では後期高齢者の大半が市町村国保に入り、保険証の上で区別されることはなくなる。だが高齢者医療の収支は現行同様に別勘定とし、財政運営を都道府県単位で行う。

 根幹はあまり変わらないものだが、これを「現行制度の廃止」とアピールするために、政府・与党は年明けの国会に法案を出すとしている。間に合わせるには、消費税の議論を織り込む時間はないということだろう。

 現実には、ねじれ国会の状況で法案が成立する見通しは暗い。ならば拙速を避けて、議論を再構築すべきではないか。

 政府・与党は、税と社会保障の一体改革を検討する会議を設け、消費増税の議論に着手した。その行方によって、新しい高齢者医療の選択肢も変わる。

 年金や介護などとともに高齢者施策全体で、抜本改革を進める必要があろう。

2010年10月28日01時21分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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