HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Tue, 26 Oct 2010 23:13:11 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:補正予算案 ねじれ乗り切る試金石:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

補正予算案 ねじれ乗り切る試金石

2010年10月27日

 政府が二〇一〇年度の補正予算案を閣議決定した。雇用対策をはじめ各方面に目配りした跡はうかがえるが、力不足は否めない。ねじれ国会の下で政策をどう実現していくか、試金石でもある。

 景気の先行き不透明感が濃くなってきた。とくに大学生や高校生の就職難は一段と厳しい。今春卒業予定だったが就職先が決まらず、やむなく留年した学生に加えて、来春卒業なのに内定がもらえない学生たちが続出している。

 さまざまな調査を総合すると、実質的に学生の三割程度の就職が決まっていないようだ。学生の就職難は目先の困難だけでなく、中長期的にも職業スキルの喪失を通じて日本経済全体の活力低下につながる。

 政府のもっとも重要な仕事は内政でいえば、つまるところ雇用の創出だ。そのために経済をどう活性化していくか。市場機能を損なわず、企業の新陳代謝を促して、新しい雇用の場を生み出していく。そんな役割である。

 今回の補正予算は雇用と人材育成をはじめ新成長戦略の推進・加速、さらに子育て、医療・介護・福祉、地域活性化、中小企業対策などと、何本も柱を立てた。

 批判を招かないように配慮したように見えるが、その分、どこに重点があるのか、補正の狙いが見えにくくなった。

 総額五兆九百億円という経済対策規模のうち、新卒・若年者への就職支援は五百十一億円にとどまる。超氷河期に加えて、菅直人首相が民主党代表選で雇用重視を力説していた経緯からすれば、環境技術開発などを後回しにしても、若者の就職対策に手厚く取り組んでも良かったのではないか。

 財源には約二兆二千億円の一〇年度税収上振れ分や市場金利の低下に伴う国債費減少分などを充てた。赤字国債の発行を避けたい意図は分かる。その分、歳入制約が先にありきの予算になった。

 この補正予算案が成立するかどうかは国会次第だ。ねじれ国会で初めての予算審議であり、野党がどう対応するかは、来年通常国会での一一年度予算審議を占う意味合いもある。

 菅政権は公明党や自民党の協力を期待して、地域活性化交付金の増額も盛り込んだ。とくに公明党は与党が参院で過半数を確保するうえで鍵を握る。多数派形成に与野党の駆け引きは激しくなるだろうが、政局の思惑ばかりが先走るのはごめんだ。双方とも政策本位の姿勢を堅持すべきである。

 

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