HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 27 Oct 2010 02:11:18 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:古い話で恐縮だが、昭和四十年代に転校した先の小学校で、カル…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年10月27日

 古い話で恐縮だが、昭和四十年代に転校した先の小学校で、カルチャーショックを味わったことがある。給食の時、パンを一口分残して、最後に皿をぬぐって食器をピカピカにして返すのが、新しい学級のルールだったのだ▼担任はしつけに厳しい年配の女性教師。もちろん食器をふいたパンは最後に食べる。給食当番になって、きれいな食器を返しにいくのが誇らしかった。いま思えば子どもが好きな給食を通して、食べ物を粗末にしないことやつくる人への感謝の気持ちを学ばせようとしたのだろう▼給食は教育の場である。だが、指導を間違えるといじめを培養する場にもなってしまう。自宅で首つり自殺した群馬県桐生市の小学六年の女児は、最近は独りぼっちで給食を食べることが多かったという▼仲良し同士で給食を食べるようになった九月中旬以降、欠席する日が増えた。周りが楽しくおしゃべりする中、砂をかむような孤独感を味わっていたのだろうか▼自殺に使ったのは、家庭科が好きだったという女児が、母に贈るために編んでいたマフラーだった。変わり果てたわが子を見つけた母の驚きと悲しみを思うと言葉もない▼札幌などではきのう初雪が降り、近畿では木枯らし1号が吹いた。娘が編んでくれたマフラーをまいて、娘と手をつないで冬の道を歩く。そんなささやかな母の夢はもうかなわない。

 

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