HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 25 Oct 2010 21:11:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:G20 対立激化は避けたが:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

G20 対立激化は避けたが

2010年10月25日

 先進国と新興国の二十カ国・地域(G20)が通貨切り下げ競争の回避で合意した。世界経済の不均衡是正にも取り組む。対立激化は避けられたが、真の協調体制を構築できるか予断を許さない。

 韓国で開かれた日米欧と中国など新興国によるG20の財務相・中央銀行総裁会議は、各国が輸出拡大による景気刺激のために自国通貨の下落を容認する中、新たな協調を目指せるかどうかが大きな焦点だった。

 G20の共同声明は通貨切り下げ競争の回避を明言したうえ、経済の基礎的諸条件を反映し、市場で決まる為替相場制度への移行もうたいあげた。人民元の大幅切り上げを拒んできた中国を合意の輪に取り込んだのは成果といえる。

 根底にあるのは、輸出拡大競争だ。声明は経常収支を持続可能な水準に維持するための新たな指針を作成することでも合意した。

 米国は直前に各国の経常収支を国内総生産(GDP)の4%以内に抑えようという数値目標を提案した。中国などが反対し結局、見送られたが、もともと数値を掲げたところが高めのくせ球であり、指針作成で合意できれば米国としても十分だっただろう。

 指針ができれば、G20が単なる協議の場から一歩進んで、通貨水準を含めた各国のマクロ経済運営を日常的に相互監視する座標軸になる。協調枠組みの強化という観点で大きな前進である。

 ただこの先、議論がひと筋縄で進んでいく保証はない。

 日米欧は景気の二番底懸念を抱えて当面、金融緩和を続けざるをえない。先進国は意図的な通貨安を狙っていないとしても、だぶついた資金が成長余力を残す新興国に流入して、結果的に新興国の通貨が高止まりしてしまう。

 中国は為替相場の柔軟化に賛成しても、だからといって自国経済と社会の不安定化につながる早急な切り上げには応じにくい。

 結局、日米欧の内需拡大による景気回復がはっきりと展望できるようになるまでは、各国の輸出依存姿勢は変わらず、対立の芽は残る形になる。だが、すべての国が通貨安にできないのと同じように、すべての国が輸出を増やすこともできない。

 日本の野田佳彦財務相は円高に市場介入で対応する構えを変えていないが、議論の本筋は内需拡大に何をすべきかである。小手先対応ではなく、時間がかかるとしても自前の成長を目指す大胆な規制緩和や予算編成が必要だ。

 

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