HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37691 Content-Type: text/html ETag: "100aba-15b6-ff489b80" Expires: Sun, 24 Oct 2010 21:21:43 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 24 Oct 2010 21:21:43 GMT Connection: close 医師不足対策 計画配置する仕組みが必要だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

医師不足対策 計画配置する仕組みが必要だ(10月25日付・読売社説)

 救急や産科などを中心に医師不足が深刻化している中、厚生労働省が初めて医師への求人状況に着目し、全国の病院などを調査した。

 回答した約8700施設には、計16万7000人の勤務医がいるが、1万8000人足りないとして募集している。十分な診療体制をとるためには、さらに6000人が必要だという。

 今回の調査は、医師不足の本質を「勤務医不足」ととらえ、地域や診療科ごとに深刻さの度合いを測るという意味では、実態把握の第一歩になろう。

 例えば、東京都は医師を現状より8%増やせば病院が求める人数を満たせる。対して、岩手県では40%もの増員が必要だ。全国の診療科別で見ると、リハビリ科や救急科などでは30%近く増やさねばならず、不足感が最も強い。

 医療の人材をどのように配分すべきか、ある程度の優先順位は浮かんでくる。

 ただし、医師を増やせば勤務医不足が解消する、といった単純な話ではない。

 医師国家試験の合格者は毎年約8000人おり、引退する医師を差し引いても、年に約4000人のペースで増えている。

 さらに、医学部の入学定員は今年度に360人、来年度も約90人増員される。人数だけの問題ならば、いずれ充足するだろう。

 今回の調査はあくまで、現在ある病院に状況を聞いたものだ。だが、無計画に病院が設置されていること自体が、勤務医不足の要因でもある。

 近隣の自治体が競い合って、同じような総合病院を作っているケースが少なくない。

 産科や小児科など昼夜を問わず診療を求められる部門も、民間病院や自治体病院に、広く薄く医師が配置されている。このため診療体制に余裕がなく、医療事故のリスクも高い。耐えかねた勤務医は開業医に転身していく。

 この状況をそのままにして医師の養成数を増やしても、勤務医不足は解消されず、地域や診療科による偏在は進んでしまう。

 地域の病院が役割を分担し、救急や産科などを集約する。開業医も連携して病院を助ける。研修医など若手医師を計画的に配置していく。そうした対策を、強い権限をもって進める仕組みが要る。

 都道府県ごとに、大学医学部や基幹病院、自治体、医師会が協力し、利害を超えて医療機関と人材の計画配置に取り組むべきだ。調査だけでは事態は改善しない。

2010年10月25日01時01分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です