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10月25日付 編集手帳

 実物は見たことがなくても、簡単に思い浮かべることができる人物はいるものだ。ナチス総統のヒトラーは、その典型だろう◆チャプリンの『独裁者』、ブルーノ・ガンツが主演した『ヒトラー〜最期の12日間〜』……。映画や実写の映像が記憶に刻み込まれ、いつしか自分なりのヒトラー像が出来上がっている◆ベルリンのドイツ歴史博物館で、「ドイツでは戦後初のヒトラー展」(独誌)が始まった。戦争の加害者となったドイツでは戦後、ヒトラーを悪魔的人物とみなし、その著作を禁書とするだけでなく、公の場でナチスの象徴を掲げることも禁じてきた。一種の自縛である◆戦後60年たって、『最期の12日間』が悩み、怒り、やさしい心遣いを見せるヒトラー像を示した際は、「ドイツ人はまだヒトラーを人間として描くほど成熟していない」(仏紙)と批判された◆「ヒトラーとドイツ人」と題した展覧会は、なぜドイツ国民がヒトラーを受け()れたのかを探ろうとしている。独裁は、それを支持したり、黙認したりする人々がいなければ、成立しない。そんな反省が込められているのかも知れない。

2010年10月25日01時10分  読売新聞)
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