HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37564 Content-Type: text/html ETag: "100b4d-1601-665ae80" Expires: Sun, 24 Oct 2010 01:21:43 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 24 Oct 2010 01:21:43 GMT Connection: close 国連大学院 “看板倒れ”に終わらぬ工夫を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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国連大学院 “看板倒れ”に終わらぬ工夫を(10月24日付・読売社説)

 国連大学本部は東京・渋谷にある。しかし、どんな組織か知らない人も多いのではないか。

 大学と言っても、実際には国連活動に関連した研究や研修などが行われているだけで、「学生のいない大学」と揶揄(やゆ)されることもあった。

 この秋にようやく教育課程を持つ大学院が開設された。本部内のキャンパスにアジアやアフリカなどから5人の学生を迎えた。授業は英語で行われる。

 国連大学は、福祉や開発など国連が関心を寄せる地球規模の問題の解決を目的に、1973年の国連総会決議で創設された。

 日本に本部を置く唯一の国連機関でもある。活動の多くは、日本政府の任意の拠出金や日本企業の寄付によって支えられてきた。

 支援するからには、国際社会に役立つ組織として育てていかなければならない。

 しかし、かつて国連の監察団からは、国連大学の研究は十分活用されておらず国際社会の期待に応えていないと、非効率を批判されたことがある。

 行政刷新会議の事業仕分けでも、国連大学への政府拠出金について、効果がよく分からないと指摘された。

 新設の大学院も看板倒れに終わるなら、国連大学の存在意義自体が問われかねない。

 最初は、世界の学生が集まる国際色豊かなキャンパスが構想されていた。しかし、留学生の受け入れを進める欧米の大学が「競合する」と反対し計画は頓挫した。

 昨年末に国連大学憲章がやっと改正され、博士・修士の学位を授与する大学院に改組された。

 途上国の多くの学生が欧米の大学や大学院で学ぶ時代だ。国連機関の特質を生かした質の高い教育を行うのでなければ、優秀な学生は集まらないのではないか。

 国連大学には、ガーナのアフリカ自然資源研究所、マレーシアのグローバルヘルス研究所など世界に14の研究拠点がある。

 これらの拠点にもキャンパスを設ける方針という。連携を密にして、地域に根ざした研究の蓄積を教育にも活用すべきだろう。

 名古屋で開かれている生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)では、国連大学などの主導で、里山を生物多様性保全のモデルにする国際ネットワークが結成された。こうした活動も教育に生かすことが出来るだろう。

 幅広い国民の理解を得るには、大学側が具体的ビジョンを説明していくことが欠かせない。

2010年10月24日01時12分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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