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10月22日付 編集手帳

 叔母の無実を証明しようと奔走する男、浜田が言う。〈検事さんかて人間やろ。家に居て、子供に一タス一はいくらや聞かれると、二ィと答えるやろ…〉◆実在の冤罪(えんざい)事件にもとづく映画『証人の椅子(いす)』(山本薩夫監督)のセリフを、井手雅人氏の脚本集から引いた。〈その人が検察庁の門の中に一歩入ると、一タス一が二ィでなくなる、おかしなとこでッせ。三にも五にも十にだって…検事さんッて、ありゃ一体どんな人間です?〉◆同じ問いを多くの人が発したことだろう。大阪地検特捜部の元主任検事(証拠隠滅罪で起訴)による証拠品改竄(かいざん)事件をめぐり、当時の部長と副部長が犯人隠避罪で起訴された◆検事総長の謝罪会見も異例中の異例である。「愚か者が池に投げこんだ石は、10人の賢者が集まっても取り返せない」と西洋の格言にあるが、検察の池に投じられた“不信”という名の石も回収は容易なことではない◆映画では、検察の絶大な権力を象徴する言葉として、〈検察一家に手ェ出すな〉というセリフも語られる。(おご)りを捨て、公益の一従事者に立ち返り、石拾いを一家総出で急がねばならない。

2010年10月22日01時13分  読売新聞)
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