HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 21 Oct 2010 21:11:16 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:リニア新幹線 『夢』を走らせ活力を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

リニア新幹線 『夢』を走らせ活力を

2010年10月21日

 JR東海のリニア中央新幹線・東京−名古屋間は南アルプスを貫く直線ルートで事実上決着し、夢の一大事業は実現に向け走りだした。課題は多いが、日本が活力を取り戻す起爆剤になってほしい。

 国土交通省の審議会が、費用対効果面から「優位」とした直線ルートはJR東海の希望通りながら、最も現実的な選択だ。同社の試算では東名間二百八十六キロを時速約五百キロ、四十分で結ぶ。長野県の一部が要望していた、中信地域へ迂回(うかい)する伊那谷ルートなどと比べて最短で、建設費も五千億円前後圧縮できる。

 リニア中央新幹線(東京−大阪)は、東海道新幹線のバイパス路線として一九七三(昭和四十八)年に基本計画が決定。同時期に国鉄が超電導磁気浮上式リニアモーターカーの開発に着手した。引き継いだJR東海は二〇〇七年に全額自己負担での建設を決めた。一四〜一五年の着工、名古屋までは二七年、大阪までは四五年の開業を目指している。

 超電導リニアの実用化という夢の技術開発や、八兆円を超える総投資額は国家プロジェクト級である。まして、政府はリニアの海外輸出を目指してもおり、万全な開業へ向けて国の支援態勢も求められる。

 国の統計からの推計では、四五年に東京−大阪間が約一時間で結ばれれば、年間輸送需要量は現状(〇五年)の新幹線八百三十八万人に対し、リニア千百五十一万人、新幹線二百二十六万人と鉄道が六割増に。一方、飛行機は伊丹と関西空港の便数が現状通りとしても三百十一万人から二百二十一万人に減る。欧米でもみられる“鉄道復権”時代となる。

 そしてリニア沿線には「大交流圏」が出来上がってくる。各県一つの中間駅付近は自然景観が豊かな地域だろうし、二地域居住を視野に入れたリゾート地の形成、ひいては地方都市再生の可能性もある。ただ、JR東海は駅設置は全額地元負担と言っている。人口が流出するストロー現象もあり得るだろう。綿密な需要予測に基づいた総合的な交通ビジョンと、地域活性化策が必要である。

 糸魚川・静岡構造線の大断層帯を横切る長大トンネルには、どのような工法を採るのか。東海大地震への対応は万全なのか、最も気になるのは安全性だ。自然環境の保全、電磁波の影響はないのかなど、懸念も消えない。こうした不安を取り除くため、JR東海には積極的な情報公開を求めたい。

 

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