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武器輸出3原則 共同開発参加へ見直し急げ(10月21日付・読売社説)

 防衛装備の国際的な共同開発に参加できず、技術革新の波に遅れる。防衛費の漸減が続く中、関連企業の撤退が相次ぎ、技術基盤が揺らぐ。

 こうした国の安全保障にかかわる深刻な現状から目を背けることなく、武器輸出管理政策を根本的に見直す時である。

 北沢防衛相が、「防衛技術・生産基盤の劣化」に危機感を示し、一部の例外を除き全世界を禁輸対象とする武器輸出3原則の見直しに取り組む意向を表明した。

 防衛相は1月にも同様の重要な問題提起をしたが、当時の鳩山首相が「3原則を守る」と述べたため、論議は深まらなかった。

 だが、菅首相は、「基本理念は変えない」としながら、年末までに行う防衛大綱改定の作業の中で3原則見直しの是非を議論する考えを示している。

 「平和国家」という理念を維持しつつ、時代の変化に対応して3原則を見直すことは、十分可能だ。問題を先送りせず、年内に見直しを決断することが求められる。

 航空自衛隊の次期戦闘機の選定作業が難航している。最大の理由は、レーダーに探知されにくいステルス性を持つ第5世代機の導入のメドが立たないことにある。

 有力候補の第5世代機F35は米英など9か国の共同開発だ。日本は3原則の制約で参加できず、早期導入が困難な情勢にある。

 巨額の費用を要する戦闘機や無人機、艦船の開発は、複数の国が共同で行うのが国際的潮流だ。3原則が今のままでは、日本は、将来の第6世代機の開発でも後れをとりかねない。装備品の共同開発への参加の解禁が急務だ。

 3原則は、日本の防衛産業の割高な生産費の要因でもある。

 防衛費が8年連続で減る中、戦闘機や戦車の製造会社の撤退が相次いでいる。ある程度の淘汰(とうた)は不可避としても、優秀な専門会社や特殊技術者が姿を消すことは、日本の安全保障にも損失だ。

 3原則見直しは、防衛大綱改定に関する有識者懇談会も8月の報告書で提言した。「平和構築、人道支援、テロや海賊対応の国際協力の手段」としての武器輸出の原則解禁を求めている。妥当であり、その方向で見直すべきだ。

 日本は2006年にインドネシアに海賊対策の巡視船を3原則の例外措置として供与したほか、現在、中東・アデン湾の周辺国から供与を要請されている。

 こうした武器輸出は、「平和国家」の理念にまさに合致する。より積極的に進めたい。

2010年10月21日01時33分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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