HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37516 Content-Type: text/html ETag: "dc242-1646-fb131680" Expires: Thu, 21 Oct 2010 03:21:38 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 21 Oct 2010 03:21:38 GMT Connection: close リニア新幹線 妥当な「直線ルート」での決着 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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リニア新幹線 妥当な「直線ルート」での決着(10月21日付・読売社説)

 JR東海が計画しているリニア中央新幹線が、南アルプス直下を貫通する「直線ルート」で決着する見通しとなった。

 国土交通省の審議会が20日、南アルプスを北に迂回(うかい)する「伊那谷ルート」と「木曽谷ルート」に比べ、「直線ルート」は距離が短く建設費が圧縮できるなど、最大の投資効果が見込めるとの試算を公表したためだ。

 懸案だったルート選定にメドが付いたことで、今後は、採算性や安全性などの検討に入る。こうした作業を着実に進め、早期開業を目指してほしい。

 磁力で浮上し、時速500キロで高速走行するリニアモーターカーを使った中央新幹線は、東海道新幹線を運営するJR東海が構想を進めてきた。

 東京―名古屋―大阪の3大都市圏を67分で結ぶ「夢の超特急」で、閉塞(へいそく)感が漂う日本に久しぶりにインパクトを与える巨大プロジェクトと言ってよい。

 2027年にまず東京―名古屋間を40分で結び、45年には大阪まで延伸する計画となっている。

 開業から46年が経過した東海道新幹線は設備が老朽化し、輸送力も限界だ。大規模な補修や大地震などを想定すれば、バイパスとしても役割は重要である。

 自動車や航空機に比べ、環境に優しい鉄道は世界的に見直され、高速鉄道計画が相次いでいる。日本が世界に先駆けて長距離リニアを実用化すれば、海外展開にも弾みがつくことが期待されよう。

 夢の実現には不安もある。名古屋までの区間で5兆円かかるという建設費は、JR東海が借入金などで自己負担し、国費に頼らない方針だ。大阪延伸の場合は9兆円にまで膨らむ。

 JR東海は、リニアと東海道新幹線を並走させても全体の需要は増加すると予想するが、需要見通しは妥当なのか、事業の採算性を厳しくチェックすべきだ。

 それにしても、これだけの巨大事業を民間企業が単独で実施するケースはほとんどない。鉄道建設に政治が過度に介入してきた歴史を繰り返してはならないが、国家的事業であることを考えれば、政府の側面支援も必要となろう。

 用地買収を抑えるため全路線の7割が地下トンネルを走行し、難工事が予想される。運行面も含めて安全面や環境面で万全な対策が求められる。

 六つの中間駅の建設費負担を巡る関係自治体との調整も残る。事業者、国、利用者、自治体が納得できる次世代鉄道にすべきだ。

2010年10月21日01時33分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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