HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37378 Content-Type: text/html ETag: "100afc-15be-abe16f80" Expires: Wed, 20 Oct 2010 03:21:41 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 20 Oct 2010 03:21:41 GMT Connection: close 踊り場の景気 政策支援で腰折れの回避を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

踊り場の景気 政策支援で腰折れの回避を(10月20日付・読売社説)

 景気の腰折れを避けることができるかどうか、日本経済は正念場を迎えたようだ。

 政府は、10月の月例経済報告で、景気認識を前月の「持ち直し」から「足踏み状態」に下方修正し、景気が「踊り場」に入ったことを認めた。

 円高や海外経済の減速のあおりで、輸出と企業の生産が「弱含んでいる」と判断したためだ。

 景気は2008年秋のリーマン・ショックで急落した後、緩やかな回復を続けてきた。

 だが、アジア新興国の成長や、これまでの経済対策が頼りで、足腰はさほど強くなかった。そこへ円高などの逆風を受け、回復の歩みが一気に鈍ってしまった。

 このまま手をこまぬいていれば、景気はズルズル下降線をたどりかねない。政府・日銀は、景気を大きく後退させぬよう、政策運営に全力をあげねばならない。

 最も懸念されるのは、やはり円高だ。輸出関連企業の多くは、1ドル=90円程度の想定で収益計画を立てているが、円相場は81円前後で推移している。このままでは輸出競争力が低下し、利益は大きく下ぶれする。

 円高は急激で、明らかに行き過ぎている。政府・日銀は、円高の進行を阻止するため、市場への再介入もためらうべきでない。量的金融緩和策のさらなる拡充も、選択肢となろう。

 アジアの新興国で成長が鈍化してきたほか、欧米でも本格回復が遅れている。海外経済の動向にも注意しなければならない。

 さらに、エコカー補助金が9月で終了した余波も心配だ。

 駆け込み需要の反動で自動車販売が落ち込み、自動車各社は大幅な減産を余儀なくされている。部品メーカーなどを含め、影響は広範囲に及ぶ恐れがある。

 企業の利益が減れば、設備投資や雇用が抑えられ、それが消費を冷やす。こうした「負の連鎖」が現実味を帯び始めた。

 民間の調査機関では最近、今年10〜12月期に実質経済成長率がマイナスに落ち込むという予想が増えている。

 景気を底割れさせないため、政府は、緊急経済対策に盛り込んだ公共事業など、即効性のあるテコ入れ策の実施を急いでほしい。

 学校や橋の耐震化、保育所や介護施設の整備など、やるべきことはいくらでもある。

 来年度予算は、子ども手当など実効性に乏しいバラマキ政策を縮小し、経済効果や緊急性の高い事業に重点化すべきだ。

2010年10月20日01時20分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です