HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 19 Oct 2010 21:12:48 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:『反日』デモ 冷静に実態を見極めよ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

『反日』デモ 冷静に実態を見極めよ

2010年10月19日

 中国の地方で尖閣事件に抗議する「反日」デモが広がり一部は暴徒化した。日系企業や邦人の安全が脅かされるのは許し難い。しかし、反政府デモの色彩も濃く実態を冷静に見極める必要がある。

 四川省成都など地方三都市で十六日に起きた「反日」デモは十七日午後、成都市の北東約百二十キロの綿陽市に飛び火した。

 参加者は約三万人に上り、一部は暴徒化し、日本車が壊されたり、日系店舗が襲われたりした。

 十六日に大規模デモが起きた河南省鄭州市では十七日にも、中心部の通りで約三万人が尖閣諸島(中国名・釣魚島)は「中国の領土だ」と叫び行進、武漢でも十八日、デモがあった。

 中国では、これらのデモは東京で十六日に行われた中国に抗議するデモに触発されたという見方が強い。しかし、集会・デモの自由が厳しく制限されている中国で、大規模なデモが自然発生的に起きるとは考えられない。

 北京では十五日から十八日まで第十二次五カ年計画を検討する党第十七期中央委員会第五回全体会議が開かれており、地方の党書記ら指導者は上京していた。

 胡錦濤指導部の尖閣事件処理に不満を持つ党内勢力が、指導者不在のスキを突いて学生らのデモの動きを黙認した可能性がある。

 綿陽では、失業者や二〇〇八年の四川大地震の被災者らがデモに参加し政府への不満を叫んでいたという。デモの主力になった学生たちは学生数急増で厳しい就職難に苦しんでいる。特に地方出身の学生にとってあこがれの職業が多い大都市の就職は容易でない。

 金融危機対策で格差は拡大し社会問題が深刻化する一方だが、不満の表明は厳しく統制されている。共産党政権が求心力を高めるため強調してきた「愛国」を掲げるかぎり、デモや暴力行為に公安当局も手を出しにくい。

 今回の「反日」デモは、こうした中国独特の事情が反映した反政府デモの色彩も強く、日本側は感情的な反発を控えるべきだ。

 中国政府には日系企業や在留邦人の安全確保を要請する。尖閣事件以降、進んできた関係緩和を加速し、中国政府自身が過剰な「反日」感情を抑えるよう教育や宣伝の転換をすべきだ。

 「民衆が日本側の誤った言行に怒りを表明することは理解できる」(中国外務省談話)などと政府がデモに迎合する態度を強調すれば、矛先がやがて自らに向かう可能性があることを悟るべきだ。

 

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