HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37548 Content-Type: text/html ETag: "100abe-1600-8c270ec0" Expires: Sun, 17 Oct 2010 23:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 17 Oct 2010 23:21:05 GMT Connection: close 国の出先機関 「原則廃止」は棚上げしたのか : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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国の出先機関 「原則廃止」は棚上げしたのか(10月18日付・読売社説)

 昨年の民主党の政権公約も、今年6月の政府の地域主権戦略大綱も、国の出先機関は「原則廃止」するとしていた。その方針はどうなったのか。

 8府省が13系統の出先機関の約500事務について、「自己仕分け」した結果、地方自治体に移譲する事務はわずか1割程度にとどまった。しかも、移譲するのは、地方厚生局による社会福祉法人の認可など“軽量級”が多い。

 大半の事務は、引き続き出先機関が実施するとしている。これでは出先機関の「原則廃止」どころか、統廃合さえおぼつかない。

 財源の裏付けのないバラマキ政策と同様、「政権をとれば何とかなる」という安直な政権公約作りのツケという面もあろう。

 だが、政権党になって9か月を経た時点の政府決定は、極めて重いはずだ。今回の「仕分け」結果との落差はあまりに大きい。

 菅首相は15日の閣僚懇談会で、月内に「不退転の決意で」仕分けをやり直すよう指示した。その結果を政府全体で再検討し、年内に行動計画を策定するという。

 首相は、地域主権改革を「内閣の最重要課題」に挙げている。それなら、閣僚に指示するだけでなく、国土交通省の地方整備局などの“大物”は、自らの決断で、事務の地方移譲を進めるべきだ。

 国と地方の二重行政を排し、効率化する。住民サービスをより身近な役所に任せることで、住民のニーズに柔軟に対応するとともに、住民や議会の監視にさらす。こうした出先機関改革の基本的な方向性は間違っていない。

 国と地方のあり方を見直す出先機関改革は本来、中央省庁再編にも匹敵する大改革だ。中途半端な取り組みでは成果は出ない。

 各府省が自らの権限や予算、職員を削る「自己仕分け」が官僚任せでは限界がある。閣僚や副大臣は、省益でなく、国益を考えて指導力を発揮することが必要だ。

 全国知事会は、都道府県労働局のハローワークの職業紹介業務と地方整備局の直轄国道・河川の整備・保全業務を、地方移譲の最重点分野に掲げている。

 政府は、こうした地方が強く望む事務の優先的な移譲などを求める仕分けの「再検討の指針」を公表した。妥当であり、各府省はその方向で進めてほしい。

 事務の地方移譲に伴い、財源や職員も当然、自治体に移す必要がある。各府省と自治体を本気にさせるには、政府が、財源移譲と職員の処遇を保証し、その具体像を明確にすることが重要だろう。

2010年10月18日01時28分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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