HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sat, 16 Oct 2010 22:11:23 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:イラン油田撤退 資源戦略の練り直しを:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

イラン油田撤退 資源戦略の練り直しを

2010年10月16日

 イランのアザデガン油田から日本も全面撤退する。核疑惑をめぐる対イラン制裁に強硬姿勢を崩さぬ米国に押し切られての決断だ。新たな日の丸油田獲得など、資源外交の練り直しが欠かせない。

 「政治的な要請であり、残念だが仕方ない」。石油業界の関係者は、埋蔵量二百六十億バレルに上る世界最大級のアザデガン油田の権益喪失に落胆の表情を隠さない。

 日本政府が筆頭株主の国際石油開発帝石がイランと開発契約を結んだのは二〇〇四年。サウジアラビアとクウェートにまたがるカフジ油田の権益更新に失敗し、それに代わる日の丸油田だっただけに落胆するのも無理はない。

 日本は〇六年にも国際社会の圧力にさらされ、アザデガン油田の75%の権益を10%に縮小して開発主導権を手放している。無資源国であるがゆえに、米国と一線を画したイランとの友好関係にこだわり続けたが、それを許容するほど米国は寛大ではなかった。

 既にロイヤル・ダッチ・シェルなどの欧州勢が撤退し、菅政権も対イラン追加制裁を決めている。いくら資源を渇望しても、日本は非核から目をそらせない。撤退はやむを得ないと言うべきだ。

 しかし、今回の撤退を軽く見るべきではない。日本が手放した権益は、世界で資源を買いあさる中国が取って代わる。もはや埋蔵量世界三位のイランで権益の回復は難しい。日本が自らの手で開発し、安定供給をもたらす新たな日の丸油田をいかに増やしていくか。これこそが資源小国・日本に突きつけられた課題だ。

 先月、日本は中東のカタールと共同声明を発表し、カタールは原油などの対日供給を、日本は開発投資の拡大を約束した。ロシアはサハリン3の油田、ガス田の開発で日本企業に投資を促している。

 日本の輸入量に占める日の丸原油などの割合は23%、これを三〇年までに40%へ引き上げる。この政府目標を実現するには、安全保障も含めたリスクを回避し、一歩ずつ着実に進む以外にない。

 今や中東の産油国ですら太陽光発電など脱化石燃料を目指す時代に入った。得意の省エネ技術支援などを組み合わせた調達先拡大の道も探るべきだ。

 レアアースの九割を中国に依存する日本は、中国の一方的な輸出削減で輸入先の分散化に迫られた。原油についても、この教訓を生かし、世界の産油国から広く確保する新たな戦略を築くときだ。

 

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