HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sat, 16 Oct 2010 20:11:20 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:日中関係 『静かな外交』の危うさ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

日中関係 『静かな外交』の危うさ

2010年10月16日

 予算委員会の論戦を通じ政府は尖閣事件後、間を置かず日中首脳の顔合わせが実現し関係緩和に向かったと胸を張った。しかし、経過を点検すれば今後も外交的失策を繰り返す危うさが潜んでいる。

 仙谷由人官房長官は「柳腰外交」という表現を使い政府の「しなやかでしたたかな対応」を自画自賛し判断ミスを否定した。

 菅直人首相の周辺には謝罪と賠償を要求する中国と派手にやり合わず、建設会社の四人の釈放を実現したことを「静かな外交の勝利」と誇る声さえあるという。

 中国漁船の船長釈放後、まもなくブリュッセルで開かれたアジア欧州会議(ASEM)で菅首相と中国の温家宝首相の「廊下会談」が実現し、その後、日中関係が緩和に向かった。仙谷長官らは、これを誇りたいのだろう。

 しかし、そのプロセスは問題が多い。外交筋によると、関係緩和には民主党の細野豪志前幹事長代理が訪中し外交政策の司令塔である戴(たい)秉国(へいこく)・国務委員(副首相級)と会談したことが功を奏した。

 仙谷長官や前原誠司外相は表向き細野氏の訪中への関与を否定している。実際には細野氏は首相官邸の要請に基づく事実上の「政府特使」として訪中したようだ。

 細野氏は昨年末、小沢一郎幹事長(当時)が百四十人の民主党議員を引き連れ訪中した「長城計画訪中団」の事務総長も務め、共産党対外部門とパイプを築いた。細野氏には中国ビジネスの経営コンサルタントも同行し、独自の人脈から中国側と折衝したという。

 細野氏の訪中に外務省は関与せず、ブリュッセルの日中首脳顔合わせにも外務省の中国・モンゴル課長や中国語通訳も同席しなかった。これに対し党と政府が一体の中国は日本担当者が同席した。

 中国要人は公式発言は中国語でしか行わず、外国語による記録を会談記録と認めない。つまり外交的には、日中首脳の会話は「なかった」と同じである。

 尖閣事件で外務省と官邸の意思疎通不足があらわになり中国側の出方を読み違えることが目立った。事件収拾でも両者の亀裂は一層、深まったようだ。

 これから中国の国力は日本を上回り、対応はますます難しくなる。政治家と官僚が反目していて太刀打ちできるはずもない。

 民主党政権が尖閣事件の収拾を政治主導の成功例とはき違えるなら、日本外交の危機は今後、一層深まるだろう。

 

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