HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 15 Oct 2010 20:13:29 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:千葉県習志野市内で、一台の清掃車が、路肩に駐車していたトレ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年10月15日

 千葉県習志野市内で、一台の清掃車が、路肩に駐車していたトレーラーに追突する事故が起きたのは今年六月のこと▼この事故で、清掃車を運転していた三十五歳の男性が命を落とした。一体、この人に何があったのか。それが、さいたま労働基準監督署の調べで、明らかになった▼男性は四月五日以降、事故の日まで一日の休日もなく、実に八十六日間もの連続勤務を強いられていたのだという。一昨日、埼玉県内にある男性の勤務先の清掃会社と、その社長らが労基法違反の疑いで書類送検された▼「長期間、休日なしの労働が運転時の判断に影響し事故死につながったのは明らか」と労基署。「人手不足の中、仕事ができる人だったので使ってしまった」と会社側は言っているようだが、人はロボットではない。その神経を疑う▼その書類送検の翌日、地球の反対側のチリでは、落盤事故で地下七百メートルに閉じ込められていた鉱山作業員三十三人の救出劇が無事終わった。事故から救出終了までを数えれば七十日間。その様子は世界中が見守り、作業員らは大きな拍手や歓声に迎えられた▼あの男性の八十六日間も連続勤務という深い場所に“閉じこめられていた”ような日々ではなかったか。しかし、気の毒に、彼は、そこから生きては出られなかった。重い疲労を背負ったまま迎えただろう最期が、どうにも切ない。

 

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