HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37273 Content-Type: text/html ETag: "15ceb0-1640-1a401680" Expires: Thu, 14 Oct 2010 22:21:42 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 14 Oct 2010 22:21:42 GMT Connection: close 海上阻止訓練 「北の核」包囲へ日韓協力深めよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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海上阻止訓練 「北の核」包囲へ日韓協力深めよ(10月15日付・読売社説)

 核兵器やその関連物資を積んだ船舶が自由気ままに航行するのを許しておけば、世界はたちまち危険きわまりない状況に陥ってしまう。国際社会は協力して、これを阻止しなければならない。

 昨日、韓国・釜山沖で実施された韓国主催の海上阻止訓練は、そうした国際協力の実例である。

 米国が主導して世界96か国が参加・協力している大量破壊兵器拡散阻止構想(PSI)に基づき、日韓米豪の4か国が参加した。

 訓練では、日本の海上自衛隊の護衛艦2隻が、韓国海軍の駆逐艦や米国海軍イージス艦とともに、疑わしい貨物を積んだ船舶を停止させ船内を捜索する演習で、主要な役割を担った。

 海自と韓国海軍は、遠いハワイ沖での米海軍主催の環太平洋合同演習(リムパック)には、ともに参加してきた。

 だが、近海での多国間訓練にそろって艦船を派遣したのは今回が初めてである。

 過去の歴史へのこだわりが、日韓両国が安全保障の協力に慎重だった一因でもある。

 それを変えたのは、深刻化する北朝鮮の脅威だ。

 韓国は、昨年5月、北朝鮮が2度目の核実験を強行した直後にPSIへの全面参加を表明した。今年3月の韓国海軍哨戒艦沈没事件では、北朝鮮の魚雷攻撃によると結論づけた後、今回の海上阻止訓練の主催に踏み切った。

 東アジア最大の不安定要因は、核兵器や弾道ミサイルの開発をやめようともしない北朝鮮だ。

 民生経済が破綻(はたん)する中、「核抑止力の強化」を宣言し、金正日総書記から正恩氏への特異な「3代世襲」の権力移行期に入った。

 北朝鮮が外貨稼ぎのために弾道ミサイルを輸出したり、核やミサイル開発に必要な関連物資を輸入したりすることへの警戒を、国際社会は怠ってはなるまい。

 北朝鮮に対しては、大量破壊兵器とその関連物資などの禁輸と、それを積載した疑いのある船舶の検査を各国に要請した国連安全保障理事会の決議が存在する。

 安保理決議の実効性をあげるためにも、PSIに基づく海上阻止訓練の積み重ねが大切だ。

 公海での貨物検査には船籍国の同意が必要で、北朝鮮が応じるはずがないという限界はあろう。だが、強い牽制(けんせい)効果はある。

 日韓が協力を進めることで互いの信頼は深まる。それが日米韓の連携を一層強化し、北朝鮮の挑発を抑止することにつながる。

2010年10月15日01時21分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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